nyaro さんの感想・評価
3.3
物語 : 4.0
作画 : 3.0
声優 : 3.5
音楽 : 3.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
企画と視点はすごくいい。闇が中途半端で名作になり損ねました。
テーマとしては大変面白い視点です。プリキュアが世界を救ったのは正しいことなのか?というアンチテーゼです。
戦後の混乱期から皆の努力によって積み上げられた人間社会。だけどその苦労を忘れた現代人は、好き勝手消費することで環境破壊を初めとした思いやりのない行動により世界は壊れて行くということがテーマでした。
あるいはプリキュア自身が子供の頃は夢と希望のために戦う戦士だったのが、今や職業上の悩みと結婚に悩む普通の女性になってしまっています。子供をプリキュアではなく大人として救おうとしても、限界があることを思い知らされます。
一応問題は解決するのですがそれは解決ではなく、何かを暗示しています。最後まで気を抜かないようにしましょう。したがって、各プリキュアの未来は本当に明るいものなのか?という終わり方でした。
「まどかマギカ」の魔法少女とはまた違った視点です。「まどマギ」では自分の夢をかなえるという誘惑に負け力を手に入れて、女同士で戦うというネガティブな行為で心を真っ暗にして行く話です。
本作は人間は救うに値するのか?正義の味方は常に聖人なのか?という問いかけがありました。
惜しいです。テーマやプロットはとてもいいです。この筋書きでヒューマンドラマをもっと絞って深く切り込んでいったら。人間の悪意をもっと生々しくプリキュアの闇墜ちを入れたら名作になった可能性すらあります。残念ながら企画倒れ感が無くはないです。
職業とか男のキャラの使い方も機能してなかったし…エロくする必要はないですが大人の悩み・闇・成長後に夢だと思っていた未来に裏切られる表現は必要だったでしょう。
「タコピーの原罪」とは言いませんけど、暴力的一時的な正義は結局歪みを生むだけだという意味でもっと深い闇を入れる必要はあると思います。
過去のプリキュアの続編にせず架空のプリキュアを用意した方が良かった気がします。過去作のファンに対するエックスキューズでプリキュアを汚せないという感じがします。「あの二人」の活躍も効果的なムネアツにつながってなかったので。
テーマとしては過去に類似例はあるかもしれませんが、プリキュア世代が大人になっている今だからこそ、名を冠してやることに可能性を感じました。
それとNHKでやるならもっと金だして、作画を初め作品のレベルを上げて欲しかったなあ…今のプリキュアってこのレベルなの?という感じはしました。せめて変身シーンはもうちょっと…
ということで、大きなストーリーは良かったですが、現代の闇と歪みの描写が温いのでメッセージ性が薄れた気がします。そしてプリキュアがもっと悩みぬかないと。
評価は…ストーリーは視点・テーマの良さで4にします。キャラはゴチャゴチャしているのと大きな子供に見えるキャラ造形がもったいない。酒飲んでるだけでは大人ではないです、3。音楽も作画も平凡かなあ…やっぱり3で。声優はまあお二人のなつかしさで3.5にしておきます。
ということで…企画は良かったけど、中途半端になったのはおしい。
なお、そう言えば巴マミもアラサーになってましたね。ハマーン様とか高木さんもありました。古くはドラえもんの大人版もありました。