中島野球しようぜ さんの感想・評価
4.9
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
SF作品の新たなる金字塔、社会性の是非と意思の自由への向き合い方を描いた傑作、おすすめ度★★★★★
法が人を守るんじゃない、人が法を守るんです
SFドラマとリアリティの融合とも言える極致のようなシナリオは見ていて引き込まれる。物語の雰囲気は管理社会特有の閉塞感と、監視官達による刑事ドラマ的な側面をも含み、凶悪犯との戦闘だけに留まらない複雑多様な内容。
シビュラシステムは一見理想的でこそあるが人間への厳重な管理体制や犯罪を起こしていない人間も数値化したデータで起こしそうだと判断されたら即処刑というシビア極まる恐ろしさがあり、異常性も同時に感じられるつくりになっている。
そんな中で上述の犯罪係数が上がらない凶悪犯、槙島聖護というシビュラシステムへのアンチテーゼとも言える存在は、まさに抜け穴とも言えてしまう。彼のカリスマ性とシビュラシステムのあり方に相反するスタンス、人間の意思の自由を掲げるという、悪ながらも管理社会の否定を描く立場としてかなりいい悪役であった。
狡噛と常守のバディを中心に話が進み、常守は青い所がありながらも最終的にシビュラと対等に渡り合う関係となるほどに成長し、自らの信念を強く持ち続けるキャラで好感触。狡噛や宜野座も最初はスカしたキャラだなぁと思いつつも(特にギノは口うるさいキャラで鬱陶しいとは感じた)話の起因や経験を経るごとに見方が変わる。狡噛と槙島の対決は、試合に勝って勝負で負けたという感じの終わり方で、槙島は死亡したが思考の面では槙島に1歩上を行かれた終わり方はやるせなさを感じる。
作画や音楽面でも印象的で、ディストピアと近未来感溢れる風景のビジュアルやダークな世界観がうまくハマっている。1度見るととんでもない勢いでのめり込める作品だと思っている。とはいえメディア展開が多くて劇場版と小説も追い切れないよ…