シボ さんの感想・評価
4.7
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 5.0
音楽 : 4.5
キャラ : 5.0
状態:観終わった
ゲームのように魔王倒してクリアでない世界の物語
魔王を倒すために一人城へ攻め入った勇者。
待っていたのは可愛らしい女の子の姿の魔王一人だった。
ん?聞き覚えある声のやり取りって第一話で思って
調べたら
ちょっと前に観たばかりの「狼と香辛料」のコンビって知って
(アニメ知識が素人なので調べてやっぱり~ってなりました)
聡明なのに可愛いギャップのある魔王に毎度翻弄される勇者の
ちょろさとかが最初からもう心地いいんですww。
勇者抱き枕で悶えてる姿や魔王の角がカチューシャなのメッチャ
和みます!
そんなキャラの可愛さ魅力とは裏腹にこの作品の世界感は皮肉に
満ちてます。
この物語に出てくる魔族(頭の良いやつから落ちこぼれたやつも含めて)
ほぼ人間なの?ってくらい考え方が近い生き物です。
今視聴中の葬送のフリーレンで描かれる魔族とは根本的に違います。
昔の人々が、敵対する得体の知れない敵国の人を鬼や魔法使いなどと
自分達とは違うものと恐れたのと似た感覚の存在として描かれてます。
だからこそ魔王はお互いが分かり合える、
そんな「あの丘の向こう側の景色」
を観たいという言葉が近いようで遠い話なんだなって思えます。
教会、中央国家にしても人々を統治下に置こうとする人間は
信じられない。
逆に損得が史上で打算的な商人を利用して世界を変えようと
していく魔王のリアリストぶりが見応えありました。
商人との身を削るような懐の探り合いをこなしている
頭が切れる魔王。
商人の突然の求婚に
恥じらい動揺しちゃう彼女は色々な面を持ってて観てて楽しいです。
魔王を始め勇者、メイド姉、女騎士・・・・
序盤で気になって公式のページ観たんですけど
なぜなのか誰一人キャラに名前がないんですよね。
その分、役職で呼ばれるので役割的なものはすぐに分かるのですが
キャラに名前があったらもっと魅力増したのにな~って思います。
(逆に名前をあえて付けないねらい、理由があるのかな~?
知っていたら誰か教えて下さい)
9話は凄かった~~!
異端として囚われることになる紅の学士に扮した
メイド姉の鬼気迫る演説は目が離せないシーンでした。
人は良くあろうとする自由を手放さないでください。
自ら考えることを止めることは虫である。
私は虫を軽蔑する。私は虫にはならない・・。私は人間だから。
例え死ぬかもしれないけれど自らの意思で行動する。
(もちろん誰もが自分が人間であることを疑ってはいないでしょう。
それでも自分の身の安全のためにいつの間にか虫になってないか?
なにも考えずに虫のような行動をしてないか?
なんかあなた自身はちゃんと人間やってますか?
宝物を手放さないで生きてますかって問われてる気になりました)
誇りを持つまでに成長したメイド姉の心の強さに感動でした。
後半は魔王無しでも教育によって様々なことを考え独自に模索していく。
それぞれの立場で葛藤しつつも前へ進む人々の闘いが描かれてます。
ちょっと説教臭い話だし爽快感は少ない展開ではありますけど
真理でもあるかなって観てました。
(最後の方でやっと出てきた)女魔法使いを始めモテモテの勇者。
魔王や女騎士に囲まれるがままでモフモフされっぱなしで頬を赤らめる
姿はあまりに草食すぎるのでは?ってなりますけど~><!。
勇者はちょっとあれですけど
自分は魔王や女騎士の気高くも自分の気持ちに正直で可愛らしい、
そんな二人の立場を超えた友情が一番素敵に思えました!
OP「向かい風」/ YOHKO
「君~に見せ~たいんだ~。
こ~の~向こう~側にある~ものを・・♪」
中世ヨーロッパのような情景とサビが印象的な良曲でした。
涙に伏せるメイド姉が立ち上がる姿があの演説の感動を思い起こさせます!
ED 「Unknown Vision」/ 新居 昭乃
不思議なメロディーと絵本のような挿絵で物語の余韻に浸れました。
原作は続きあるみたいですけど、この作品ももうだいぶ前だし
2期はないんでしょうね。
狼と香辛料みたいに時間経っても続き作って欲しい作品でした。