空色の猫 さんの感想・評価
4.7
物語 : 5.0
作画 : 4.5
声優 : 5.0
音楽 : 4.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
強すぎる想いが歪みすれ違う物語。
主人公が複数存在する群像劇。それぞれの視点で語られた物語が、他の人物から見れば別の側面を有していたり、一見無関係に思える事件が実は繋がっていて、螺旋状にストーリーが展開する巧みな構成。
現代日本の一都市が基本にあるが、「妖かし」が実在し、科学も一部で超越し、超人的な能力を持つ人間も登場する。
ライトノベル原作ではあるが、そうしたライトファンタジー・ライトSFにありがちな、無気力キャラクタは皆無なのが逆に特徴である。
主人公たちはもちろん脇役たちの多くが、それぞれ強い信念なり感情なりを持っており、自らのプライドと生命を掛けてぶつけあっている。
あまりに強すぎるそれらの想いは、ときに歪んで犯罪的な表現となって事件を巻き起こしたり、愛情や善意であるにも関わらず、すれ違って不幸を招いたりする。
もちろん一応の解決をみたり、ハッピーな展開もないわけではないのだが、一筋縄ではいかない。
そして、単に「そういう特殊な人がいる」「妙な事件があった」というだけの話で済まないのがこの作品である。
例えて言うなら、彼ら彼女らは人間の業ともいうべきものを体現した多神教の神の如き存在であり、この物語は象徴的なメッセージを含んだ神話なのだ。
ファンタジックなストーリーで、現実にあり得ないことばかりなのに、思い当たる節ばかりで、共感するところ反発するところだらけという得難い物語である。