てとてと さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.0
作画 : 4.5
声優 : 3.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
リアリティー突き付けるファンタジー。消されるなこの想い的な王道で自分は高評価
「メアリと魔女の花」に続くスタジオポノック2作目の長編映画108分。
【良い点】
子供の想像で生まれた存在イマジナリーフレンドの儚さ、生み出した子供(元子供だった大人も)に忘れられたら消えてしまう等の立ち位置が切ない。
リアルと想像の大冒険がシームレスに移行するファンタジーの楽しさから、そんなステキな想像の世界・存在がいかに儚いかを終始突き付けられる。
イマジナリに関する諸々の設定や儚い在り方を切実に見せつつ、感動に持っていく。
アマンダの母(シングルマザーで仕事に行き詰ってて余裕が無く、かつてのイマジナリフレンド忘れてる)の世知辛さからの、かつてのフレンドと再開展開もベタながら感動的。
割と大人視聴者に刺さる感動要素があり、良き王道作品。
多分「ピーターパン」の系譜で、より現実のシビアさ前面に出した現代的なテーマがありそう。
悪役の在り方、創造性を他者から食らって不老不死はいかんだろうと。
説明不足だが多分悪役はピーターパンシンドロームの悪例で、空想に囚われているだけの大人は醜い?
多分だけど現代人への警鐘を少し感じる。
ウェンディポジションなアマンダよりも空想側視点で描かれる物語で、諸々の設定の積み重ねで空想世界や存在が実在するかも?な世界観構築している。
空想の大冒険の描写が素晴らしく、スタジオポノックの真骨頂だった。
対比しての現実(現代イギリス?)との落差から、イマジナリたちがリアルに存在し存在の危機を迎えてるんだと実感させるのが上手い。
イマジナリな主人公狙う悪役がアマンダ母などリアルに干渉する人間(化け物だけど)な事でも、見えない世界が本当にあるかもと思わせた。
空想世界が実在し、消されやすい儚い存在で、けれど忘れられたくない、忘れたくない大切な存在である。
男の子が大切な女の子の為に頑張る系の王道なので自分好み。ラジャーはよく頑張った。
自分が消滅しかかっている、でもその子の為に…的なシチュは大好き。
協力者たちとの交流や共闘も王道だった。
エミリ可愛かった。
声優陣は上手くは無いが自然で悪くない。
楽曲も地味に良かった。英語の主題歌も良曲。
【悪い点】
敵の在り方が説明不足でよく分からない。
悪霊ぽい女の子?は何だったのか、とか。
ロボットおもちゃとか、アマンダよりヒロインぽかったエミリとか、消されちゃったイマジナリにフォローが無い。
特にエミリはかなり魅力的だっただけに勿体無い。ここら辺の冷たさは何となく英国文学ぽい印象でイマイチ。
シビアといえばシビアだけど、素直にハッピーエンドと喜びにくい。
敵が脅威度高い割に地味。
最終戦の絵面がシュールだったり。
全体のストーリーはかなり良いんだけど、イマジナリが消える条件云々が後出しが多い気も。
良く出来た作品だけど、ファンタジーの割に結構理屈重視、の割にその理屈があやふや故か、やや違和感が残った。
声優陣はナチュラルな演技で悪くなかったが、本職に対して特に良くもなく。
特に悪ボスはちゃんとプロがやった方がよかった。
【総合評価】8~7点
メアリと魔女の花より格段に良かった。
こういうのでいいんだよやればできるじゃないか。
やや違和感あるのを差し引いても感動は申し分なし。
評価は良い寄りの「とても良い」
遺憾ながら評判は芳しくない模様。
かなり良作だと思ったんだけど…