空色の猫 さんの感想・評価
4.7
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 5.0
音楽 : 4.5
キャラ : 5.0
状態:観終わった
変人と変態しか居ないのに完成されている。
『化物語』の後日談で、これまでのヒロインたちとの珍妙な会話劇と、主人公の妹二人に纏わる怪異譚という新展開。
『化物語』よりもギャグパートが長いが、笑い話だと流していると、そこがメインストーリーに絡んできたりするから油断ならない。
登場人物たちが皆、能力や特性が人間離れしているか、性格や趣味趣向が常軌を逸しているか、その両方かという無茶な設定なのだが、それらの人々が世界に適応できる理由が緻密に練られているという、ファンタジーとして完成度の高い作品になっている。
変人であるが社会生活が成立し、物語を進行させることに問題がないのである。
むしろ主人公をはじめヒロインたちが変わっているからこそ、愛を語る台詞が響き、理を示す発言に説得力が出るとも言える。
ケレンミを持たせるために人物に特徴を付加した作品はごまんとあるが、それは閑話休題的なネタになるに過ぎない。
ところが、この物語においては展開上必要不可欠なキャラ造形であるところが素晴らしい。
エロアニメという批判もあるが浅慮である。
確かに露出の多いシーンが矢鱈とあり、セクハラをしたり、逆に迫られたりもするから、性的な表現がないとはとても言えないが、主人公を始め、皆がこうした変態的な性格でなかったら、そもそも「お話にならない」のだから。
ロリコンとかシスコンとか、ハーレム的な関係になったりなどというのは普通は「歪んだ感情」でしかなく、格好良くなるはずがないのに、阿良々木暦は純粋で真っすぐな(ただ非常に強いだけの)愛情をもったヒーローだということが疑いないから傑作なのである。