nyaro さんの感想・評価
4.2
物語 : 4.0
作画 : 5.0
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
ゼロ年代ラノベの究極進化。3ヒロインのキャラ造形がすごい。
本作は2011年以前のラノベの要素の組み合わせで本格的な学園ハーレムツンデレものとなったのでしょう。本作に限らずラノベは流行の要素の組み合わせであることが多いと思います。
2012年の本作。「ツンデレ」「ホワンとしたヒロイン」「脱SFファンタジー」「学園」「ハーレム」「創作」「オタク主人公」と言う要素の集大成のような作品として極めて純度が高い気がします。その完成度故に人気になったのかな?という気がします。(一番下にこの辺りは記載しておきます)
ヒロインの造形がすごいです。ヒロイン3人の足に注目しただけでも、ニーソ、生足、黒ストッキングが揃っています。髪なら金髪、黒髪、茶髪。ツインテ、ロング、ボブ。性格ならヒステリー(ツン)、クール(ツン)、不思議ちゃん。
澤村・スペンサー・英梨々を見ると、ツンデレ、金髪、ツインテール、ニーハイは記号の塊です。要素だけで言えば「大河+ナギ」そのままです。ですが工夫として等身が高くより現実感を持たせています。また、ピンクや青髪がいなくなったのも本作の特徴でしょう。
本作の内容ですがデータベース的な作品なだけに、展開はご都合主義ではあります。設定とエピソードの見せ方で感情的な部分を作ることで物語にしている感じです。この作劇法も物語に奥行が無い単純な枠にすることで読者側・視聴者側のストレスが無くしている気がします。
故に個々のエピソードに感情移入がしやすいようになっている気がします。
私の最大の疑問は「加藤恵」ってゲームに必要?です。イメージだけならサークルに参加する必要ってあります?それがいつの間にか主要人物としてサークルにいて、主人公と一緒にいるのがものすごく不思議でした。
そこを強引にねじ伏せてくるのが主人公プラスヒロイン3人のパワーでしょう。
作画ですが、奇麗でした。非常に。学園ラブコメものとして重要なキャラの感情をちょっとした動きで表現しようという作画になっていたと思います。色彩も落ち着いていてかといって地味でもなく見やすいです。
髪や衣服の作画が丁寧なのも女子を引き立てていますし、詩羽の黒ストッキングはちゃんと太ももの彩色で色の薄い部分を作ったりしていました。
背景美術も好みです。建物の描写や質感が丁寧で構図も工夫があると思います。ライティングも考えられていると思います。
ラノベ的ラブコメを映像化としては非常に見やすく魅力的な画面だと思います。
キャラ造形と配置、創作活動というオタクが興味ある題材、オタク肯定、ハーレムからの選択権というご都合主義ハーレム要素等というラノベ集大成…というより究極進化した先のような作品で、そりゃあ面白いよな、という作品でした。
考えてみると内容は無いんですけど、内容が無いのがいいんだと思います。内容がないということはストレスがない、説教されない、受け入れ易いという現代の消費者のマインドに寄り添ったものだと思います。
(創作とは何か?ということがメッセージやアナロジー、テーマになっていたか、ですが?どうでしょう?スノビズムが…味付けにはなっているかと思いますが、奥行きになっていたかどうかは疑問でした)
ただ、この時代の欠点としてOPEDの音楽性は弱いですねえ。化物語が何年か前にあったのでボカロPなどの一般進出は始まっています。が、現在のオタク文化に影響された一流の人たちが活躍している現在から比べると物足りないです。
ということで、ストーリーは…内容はないですが完成度が高いです、4。キャラはデータベース的でありますが、徹底的にあざとく作って、そこに命を吹き込んだことは評価します、4.5。作画は素晴らしい、5。音楽性は弱いので3と言いたいですがOPED映像を評価して3.5。声優はキャラ、ストーリーと同じ4にしておきます。
完成度や主観的な面白さは80点くらいあると思います…が、ゼロ年代の集大成だけにちょっと古い気はします。
この作品以降、データベース的手法が「青ブタ」や今全盛のハーレムもの、異世界転生ものになってきたのかなと思います。
ラノベの要素について
このライトノベルがすごい!の一覧がウィキにありますので、それを見ていろいろ思い出しながら書きました。あとで研究用に随時加筆修正すると思います。
SFファンタジー要素がありません。ゼロ年代のラノベと言えばどこかにそれがあったものです。しかし「バカテス」「ハルヒ」「文学少女」のような微妙な非日常要素を残しながらも通常の学園ものに近づいて行きます。
ツンデレ要素です。「ハルヒ」は「ゼロ使」「とらドラ」のような一世を風靡したツンデレは、ツンデレのサブだったホワンとしたヒロインがメインになって行きます。「さくら荘」「バカテス」など。マンガでは「僕らはみんな河合荘」も2010年です。
ハーレム要素です。ツンデレは1体1の関係が基本でした。恋敵はいたかもしれませんが、基本どちらがメインかははっきりしていました。「バカテス」「はがない」「俺ガイル」などでダブルヒロインの取り合いになります。そして本作で3人です。その後今に至るまで数は増え続けます。
さらに「俺妹」「庶民サンプル」「文学少女」のような登場人物にクリエータ要素が加わります。ちょっとメタ的な感じがします。また「中二恋」「俺妹」の極端なオタク造形も登場します。
主役はメガネオタクという我々が投影しやすくなっています。ラッキースケベやお泊りイベント、あててんのよ…的なうらやましい日々を送りながらも、二次元にしか興味がないという草食系。「乃木坂春香」「神のみぞ知るセカイ」に近いかもしれません。
追記 輪郭線が面白いのはなんでしょう?
女子の輪郭線は赤が強く入っていて、主人公は黄色っぽい感じがします。特に睫毛が印象的でした。女子の柔らかさとか出すための工夫?黒が強くならないため?
それとそれを逆にとって、ポイントになるシーンで黄色とかピンクの線だけで輪郭を描くのもちょっと珍しかったです。今引き継いでいる人いますかね?不思議な感じがしまいた。