てとてと さんの感想・評価
4.3
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
自由に伸ばす教育と軍国主義の陰。黒柳徹子氏の原点が垣間見られる名作のアニメ化
超有名な女優・タレントの黒柳徹子氏の自伝的ベストセラーのアニメ映画版。氏の幼少期、トモエ学園の部分が描かれる。
太平洋戦争が始まり深刻化していく時代、主人公の問題児トットちゃん(幼き日の黒柳氏)が、トモエ学園の小林校長(実在の学園と人物)の伸び伸びとした指導の下で自由闊達に成長していく。
【良い点】
戦前・戦中の上流階級?風俗や生活ぶりが興味深かった。
トットちゃん家はかなりの上流家庭ぽく、ハイカラな生活ぷり、戦前戦中は大昔な認識だけど、結構凄いところもあったんだなと。
この手の作品はどちらかというとお金持ちの描写の方が見ていて面白い。
トットちゃんは問題児、今風でいう多動性障害(ADHD)?ぽく、普通の学校教育に馴染めなかったところ、子供の個性を尊重し伸び伸びと育てるトモエ学園の先進的な教育方針が素晴らしかった。
小児まひの男の子・泰明ちゃんなど何らかの障害ある子も全員の個性尊重する描写が、管理教育全盛?の昭和50年代当時衝撃だったと思われ、令和の現在でも凄いなと。
色々なエピソードあり、特に財布を便所(当時は汲み取りでうんちだらけ)に落とし、探すためにうんち塗れになるも、小林先生は怒ったり止めたりせずやりたいようにさせる話が印象的。
泰明ちゃんとの交流と死別はかなり感動的で、ハンデにめげず力合せて木に登る名場面も。
両親や、恩師の小林校長(実在の人物でかなりの偉人)の教えや想いが、後の黒柳氏のユニセフでの活躍等に活かされてるんだと思った。
トモエ学園の自由な校風と対照的な、戦争に突入していく軍国主義の暗い陰。
言下に反戦・反軍国主義を印象付けられる。
作画はシンエイ動画、トットちゃんの子ども目線で見た景色をクレヨンのような独特なタッチで活写。
キャラの喜怒哀楽も活き活きしていて良かった。
声優陣も違和感が無い。
【悪い点】
特に無し。
【総合評価】9点
流石は戦後最大のベストセラーと言われている名作なだけはあるなと。
評価は最高でもいいんだけど「とても良い」
wikiでのニワカ調べだけど、小林校長や指揮者ローゼンシュトックなど錚々たる偉人だった模様。
学友たちも一廉の御活躍をされている模様。
2023年のアニメ映画だと「君たちはどう生きるか」も戦中の上流家庭の子女が主人公だった。