かさい さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
情感アニメ、であいもん
追崎監督作品のハートフルアニメ。
見終わった感想としてはとても良かった。
特に序盤の追崎監督コンテ回の出来は非常に良く、素晴らしい回を連発している。
【良かった点】
・追崎監督について
追崎監督コンテ回の1話は物語の導入からOPまでの流れも完璧で、全体を通してもレイアウトがしっかりキマっている。
キャラ芝居に特化した作品ではない為、作画でキャラを動かすシーンは殆ない中で、"画"をしっかり限られたリソースで見せている追崎監督の手腕は見事だった。
特に1話のカッティングや撮影美術込みで見せるレイアウト、情感溢れる画作りはここ最近のTVアニメでは見られない印象。内容共に素晴らしかった。
3話の終盤の処理も追崎監督のクレジットは無いけど序盤なのもありガッツリコントロールされてそうな印象。
最終話付近も温かみの感じる画面が続き、丁寧にキャラクターや物語に寄り添っているのを感じれた。
・美術について
本作の大きな特徴は水彩調の美術だと思う。
写実的ではなく手描き感のあるタッチによって、その情感などが増している印象。美術に合わせてキャラのセルが浮かない様にキャラクターにハイライトが描き足されているが、それが中盤失速に繋がっているかも分からない。
・音楽について
音楽も良かった。主張抑えめだからそこまで強く印象に残っているわけではないけど、作品に寄り添った劇伴だったと思う。
・OP&EDについて
キャラクターデザインの渋谷さん作監がガッツリ乗った素晴らしい絵が見れる。特にEDは渋谷さん一人作画なので純度はかなり高い。
キャラクターの表情、自然体なポージング、線まで魅力溢れる映像になっている。
曲も作品に合っていて素晴らしい。
・声優について
一部関西地域の視聴者からかなり違和感を覚える訛りだと聞いたが、筆者は関東圏なのでそこは気にならなかった。
特に良きお兄さんであり、父親のような存在にも感じれる島﨑信長さんの演技は素晴らしかった。はっちゃけたり、時には真剣に向き合ったり、その抑揚と塩梅が見事だった。
小山力也さんの頑固親父感も安心感がある。
【残念な点】
上述しているが、中盤でだいぶ失速している。
シナリオ的にも、作画的にも。
序盤の追崎監督が提示した「動かさないけど画で見せる」レイアウトもだいぶ薄れてしまう。(終盤追崎監督コンテ回でまた息を吹き返す)
魅力的なキャラクターが沢山いる上、美術や色、撮影含めたビジュアルは素晴らしいので、力のあるスタジオならもっと素晴らしい作品になったのではないかとそこは少し残念で勿体ない気もした。
それでも見終わった後味は良かった為、最終的にはいい作品だったなと思えた。
2期の伏線も残っていたりするので今後の動向も注目しつつ気長に待ちたいと思う。