てらし さんの感想・評価
3.9
物語 : 3.5
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 3.5
状態:観終わった
新たな開拓
週刊少年ジャンプで連載されていたスポーツ王道物
王道物でありつつ、旧来のスポ根から時代に沿ったアップデートがされています
宮城県の烏野高校排球部が舞台
日向翔陽、影山飛雄という2人がメイン主人公
問題を抱えた2人が出会い成長することで化学反応が起こるのだけど、実際は共依存のような関係性に近く、2人がそこから自立していく物語でもあるのですが、1期においてその全ては描かれていません
2人の物語であると同時に烏野高校排球部全体が主役でもあるのですが、アニメ1期の範囲ではキャラごとの成長過程や掘り下げに差があるため、2人以外だと活躍が描かれなかったり影が薄くなるキャラが出るのはしょうがないところ
また本作は勝者と敗者、敵味方、老若男女を問わずバレーを志した者達の群像劇でもあり、そこは作者の普遍的な視点として描かれています
その分キャラクターの心理描写は増えるわけですが、それを良いと感じるかテンポを崩す重りと感じるかは見る側の捉え方次第でしょうか
そして本作最大の売りとなるのはやはり競技の描写
どれだけキャラに魅力があってもスポーツ物の真価はやはり動いてこそ
サーブ、パス、スパイク、ブロック等の基本技術、クイックやブロード、バックアタックといった攻撃パターンがアニメーションで精密に、時にはダイナミックに描写されています
未経験者視点でも足の運びやステップ、重心移動、姿勢、タイミングの合わせ方等、バレーの動作を相当研究した上で作画してるんだろうなというのは伝わってきます
見せ方という点ではバレーの中継が真横からコート全体を映した視点にほぼ限定されているのに対し、本作では観客視点以外にもネットを挟んで奥手前に選手がいる縦の構図、ネット際から見下ろした視点やベンチからの視点、そして実際に試合しているコート内の視点とアングルに様々なバリエーションを持たせることが出来ており、アニメの利点を活かした多角的な絵作りが出来ていると感じます
当然、その分の労力は増えるわけですが
一つのプレーや試合の流れに技術的心理的要因を持たせるのは勿論、チームとして個人として何が不足していて何を補ったか、対戦に向けてどれだけの準備をしてきたかを描くことでワンプレーの意味や重みが増し、勝敗の必然性をより高めることにも繋がっていると感じます
この辺は作者のバレー経験があればこそ
知識や戦術だけでなく戦略的思考があるからチームごとのカラーやキャラクターをリアルに造形出来たのではないかと思います
点取りゲームであるという認識さえ出来ていれば細かいルールが解らなくてもそれほど問題はないかと
未経験者お断りな作風ではないため、スポーツ中継でバレーを見たことがあるレベルの人でも十分楽しめると思います(自分がそうだったので)