nyaro さんの感想・評価
3.7
物語 : 3.5
作画 : 3.5
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
地味な話。劇場版の意味。麻衣さんの作画。いろいろ残念でした。
青ブタシリーズは原作は既読×通しで5回くらいです。単発で拾い読みだと時間があれば読んでいた時期がありました。大ファンです。が、正直申し上げて劇場版の「夢見る少女」までの7作(原作だと「ハツコイ少女」まで)とそれ以降を比較すると評価は2ランクくらい違います。
まあ、そうは言っても1~7作までは突出して面白いので、本作以降も青春ラブコメのラノベとしては高い水準で非常に面白いです。ただ、本作を見てわかる通り次巻(次作)以降の前振りですから盛り上がりも今一つです。最高の見せ場は冒頭のロリ麻衣さんなのは間違いないと思います。
テーマ的には悪くはないです。失われた時間と自分を取り戻す。自分の意志で進みたい方向を決める。
ストーリーも兄である咲太や新キャラである卯月がその手助けをする。旧友との仲直り。普通に良い話です。が、良くも悪くもそれだけです。前作までの緊張感というか深刻さのレベルが全く違います。
で、麻衣さんなんですけど、キャラデザが変わりました?後頭部の形がとんがったというか、メーテルっぽくなったと言うか…髪の色も黒味かかって顔も少し細長くなった気がします。サイドの髪の毛の巻き方が極端になったのかもしれませんが…うーん?見慣れればいいのかなあ…やっぱりテレビシリーズの完成度が高いからなあ…まあ、ちょっと残念です。
あと私のお気に入りの古賀朋絵のキャラデザはいいんですけど、東山奈央さん、声が少し低くなりました?キャピキャピ感がない声だったのは成長を意識して?作品の雰囲気でワザと抑えた?高音が出なくなった?
まあ、重要でいい話なのはわかりますが、地味な話だし新しいシリーズのスタートということで、非常に中途半端です。この作品を劇場版にする戦略はどうかなと思います。それはわかっていたので配信まちになったわけです。
以前は7巻までを1クール+劇場版で納めました。今回もそれが出来たんじゃないの?というメタ的な理由で私としては評価を下げてしまいました。どうせ金儲けするなら、テレビ2期をやって最終巻の発売前に劇場公開すればよかったのに、と思います。
ということで、私のもっとも好きな作品の一つですが、シリーズ内でもっとも地味なパートだし、麻衣さんのキャラデザ等で不満は残るし、劇場版戦略に納得感もありません。
また、アニメ作品としての作画のクオリティはテレビシリーズなら評価できますが、テレビだとしても高水準と手放しでほめられません。特にあのアイドルのところの出来からいって、やっぱりテレビクオリティだな、という気はします。
評価です。ストーリーは3.5、キャラは4とします。作画は3.5、声優は4。音楽は3.5とします。シリーズファンとしては4以上付けたいのはやまやまですが、公平にいってこんなものでしょう。これでも甘いかもしれません。
私事ですが1000本目のレビューということで気合い入れて見ましたが、想像以上に地味な作品だったと思います。
追記 2回目みてちょっと原作読み直したりしてみました。本作原作って、確か7巻が終わったあと、2年近く発売期間が開いており、やはり後付けなんだろうな、と思います。
本作はどうも高校編の締めくくりという位置付けみたいですが、7巻までの構成の緻密さ、そして物語の連続性、内容からいってやはり別物に見えます。むしろ大学編の準備号というか、新キャラを不自然にならないよう準備している感じに見えました。
で、花楓の物語になってきますが、彼女に生じた問題の解決として良い話ではあります。が、良い話過ぎます。どうもいい感じのチューニングで来たそれぞれのキャラが急に作りものめいてきます。特に麻衣さんが本作以降は聖女のポジションになってしまう気がします。
本シリーズの思春期症候群は各エピソードの女性たちの主体的な選択が解決の糸口になってきました。その意味では本作のその例にもれません。
高校の選択肢として「主体性」を入れるために結末の作り方が非常に技巧的過ぎなことで、花楓の選択にあまり乗れなかった感じがしました。
何より私が感情移入したのは以前の花楓であり、こちらの花楓ではないという事です。本作に期待したのは、以前の花楓に何か救済があるのか?という話でした。どうもこちらの花楓には感情移入が出来ないという点がありました。
少しずつ前に進もうと頑張った方の花楓の救済が物語から抜け落ちていた気がします。
まあ、ということでこれ以降はお金を出して劇場まではいかないと思います。配信サイトの課金くらいならいいですけどね。