nyaro さんの感想・評価
4.2
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
SF心のある良作。平凡な設定ですが上手く少年マンガになってる。
今更1期見ました。結構面白いと思います。
1話の生きる意志を見せつけられて、ちょっと感動してしまい視聴しました。「科学する心」という点でも優れていると思います。
男2人+さらに男1人というスタートでちょっと華がないなあと思ってましたが、それも杞憂でした。
途中視点が初期3人の男男女から、「島」と千空中心になるのはそっちに「描きたいもの」を見つけたんでしょうか?あの筋肉馬鹿のラブコメだと話の展開が辛いなあと思ってたので、多分そういうことでしょう。
島が安定して武力帝国と科学王国の対立がはっきりしないと、大樹と杠は使い辛かったんでしょう。2期以降も島のキャラとかぶるのでどうなるんでしょうか?
基本的には「ターンAガンダム」を思い起こす話です。ターンAガンダムの場合はナノテクノロジーによりモビルスーツを自動修復する話でそれは「砂」でした。本作は「石」ですね。
そして、科学文明をあえて停滞させるという点。ムーンレイスですら科学はあの段階で止まっておりました。「島」ですね。そこで語り継がれる昔の物語。直接本作ではでてきませんがディアナ姫がコールドスリープで1000年も生きながらえていました。
地球滅亡後の文明の進化と進化度、停滞されることの意義や弱肉強食などはSFのフォーマットですので何とも言えませんが、ターンAガンダムのテーマ、文明論と社会制度、保存・浄化の意味としてのナノテクノロジーに同じマインドを感じます。
あるいは身近な例だと小松左京氏の「復活の日」とかがすぐに思い浮かびます。そういえば手塚治虫氏の「火の鳥望郷編」が公開されたんですね。アニメはまだ見てないでが原作はそういう話です。それと異世界転生ものにも通じる点はあると思います。
さて、本作は3700年という時間です。16話までは核戦争時か隕石衝突、大火山噴火時などに発動するセーフティ装置かと思いましたが、どうも災害というか厄災そのものが石化という事らしいですね。そうするとマッドサイエンティストのテロという可能性もあります。
最終戦争やカタストロフ後に、科学を保存や文明化か原始的社会かという発想は、思想のシミュレートとして創作上あまり珍しくないとは思いますが、少年マンガのフォーマットに上手く落とし込んだなあと思います。
宇宙船のパイロットが生き残るというのもいいですね。社会学的な面からも人類滅亡後の復活という点でもちゃんとSFしてるなあ、と思いました。
ちゃんとしたSFは最近人気ないのかな?と思っていましたが、本作のように見せ方しだいで人気作になるんだなあ、と思います。
ちょっと千空が無双過ぎる気がしますし、科学的にやっていることは合っていてもプロセスにかかる時間が短すぎる気はします。その辺は少年マンガだよなあ、という感じはあります。要するに異世界無双をちゃんと科学考証付きでやっているということです。一つ一つの科学にドラマを付けているのも面白いと思います。
ジャンプ系マンガのコミック化ということで丁寧な作画だし、2クールで見ごたえがあり、1期の結末も悪くないと思います。そして後付けなので2,3期とあることが分かっているのも安心材料です。
評価です。ストーリーは4.5です。素晴らしいと思いますが、ちょっと少年マンガフォーマットで好みよりは子供っぽいかなという気がします。キャラも同様で4とします。
作画は高い水準で不満はありません。ヌルヌルとかそういうのではないですが、十分で、4.5。音楽・声優も調整の意味もあり4は付けたいですね。