Witch さんの感想・評価
4.4
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
五条と海夢の凸凹コンビが絶妙で「コスプレ」も面白く魅せていた
【レビューNo.98】(初回登録:2023/12/10)
コミック原作の2022年作品。全12話。
リアタイで視聴してましたがこれも2期決定分ということで、2期に備えてレビュー
しておこうかなっと.
(ストーリー)
祖父の家が雛人形屋で、幼い頃から雛人形の頭師を目指す高校1年生・五条新菜は、
男子ながら雛人形が好きという趣味のためか、小学校からずっと友達がおらず、
ひたすら雛人形と向き合う毎日だった。
そんな五条の秘密の趣味を、クラスの喜多川海夢に知られてしまう。彼女はスクー
ルカースト上位に位置し、五条とは真逆の存在。しかし彼女は
・そんな五条の趣味を素直に肯定。(彼は初めて他人に認められた)
・彼女も実は重度のオタクでコスプレに挑戦中。でも衣装を作れる技量がなく行き
詰っていた。
そして五条に衣装を作れる技量があることを知ると、「私のコスプレ衣装を作って
欲しい」とお願いしてくるのだった。
(五条は(人の着る衣装を作った経験はないが)雛人形の衣装作りで技術を磨いて
いた)
突然の展開に戸惑いつつも、五条は海夢の依頼を了承。
こうして凸凹コンビによるコスプレ衣装制作が始まるのだった。
(評 価)
・五条と海夢の凸凹コンビが絶妙
{netabare}・本作の魅力はやはりヒロイン・喜多川海夢の存在でしょう。
(ギャル全開なところは好みが分かれそうですが)
・美人でスタイル抜群(しかもいろいろとエロいw)
・陽キャで皆の人気者。それでいてそれを鼻にかけることなく、五条のような
陰キャにも分け隔てなく接してくれる。
・好きなことには正直で行動力もある。そして重度のオタク。
(なので他人のオタク度にも理解がある)
・それでいて大雑把さや思い付きで軽率な行動を取ってしまうなど、愛すべき
短所も兼ね備えているw
と、ある意味「オタク男子の理想」を全て具現化したようなキャラ造形です。
しかし個人的には、彼女の魅力の本質はそこではない。
「相手に対し(一人の人間として尊重し)しっかり向き合っている」
なんというか彼女をみてると、相手に対する親愛や敬意といった人間関係構築
の本質的な部分がさりげなく描写されてるなあって感じるんですよ。
これってある意味、原作者さんの人柄や卓越したセンスなんだろうなっと。
ここにクローバーワークスのレベルの高い作画や「ギャル全開」の直田姫奈さ
んの熱演も加わり「動いている喜多川海夢」はかなり魅力的です。
・一方の五条ですが、主人公ながらもどちらかといえば「動の海夢」をしっかり
支えるサポート役的な(「静」の)描写が多いという印象ですね。
・自己評価が低く、引っ込み思案で自己主張も苦手。でも内にちゃんと秘めた
るものを持っている。
・相手に対し真面目で優しく真摯に対応。そして細やかな気配り。
・コスプレという未知の分野にも研究熱心。加えて随所に垣間見れる職人気質。
・そして海夢のボケに対する完璧なツッコミw
この正反対のキャラが絶妙に噛み合って、相乗効果を生み出している様は本当
に素晴らしい。
・物語の構図としては
・陰キャのオタク男子のもとに突然ギャル天使が舞い降りた!
→ 自分の世界に閉じこもっていた五条の扉を海夢が開いてくれた
という感じではあるのですが、むしろ1期では
・オタクギャルの夢を叶えてくれる王子様が現れた!
→ 海夢が輝くために五条が最強のサポート
という色合いの方が強いかも。
お互いにとって相手がきちんと意義のある存在になっている点が、観ていて微
笑ましい関係性だなっと。{/netabare}
・「コスプレ」もちゃんと面白い
{netabare}作品の題材となっている「コスプレ」もちゃんと面白く魅せてくれてるなっと。
・1-5話が最初のコスプレ衣装作成になるのですが、
・採寸
・図面起こし(三面図)
・素材選び
・縫製(はちょっと物足りなかったが)
・メイク
・初めての試着
・初めてのイベント参加
までを意外と丁寧に時にはコミカルにエッチに、そしてトラブル発生の描写に
加え、2人の関係性が構築されていく様を交えながら(見直してみたら思わず
一気してしまう位に)面白く仕上がっているなっと。
・6話以降は「ジュジュ様」こと乾紗寿叶と妹でカメラマンの心寿が登場。
・「ジュジュ様」のコスプレ衣装作成
・コス併せ
・本格的な写真撮影
等また新たなコスプレの魅力を紹介しつつ、新キャラとの関係構築を描きなが
らストーリー展開に幅を出していくという感じですね。
・コスプレ=「究極のキャラ愛」という、オタクのこだわり的なことを語りつつ
もあまりオタク道に寄り過ぎることもなく、一般ウケする範疇に上手くまとめ
ている点もやはり原作者の技量の高さを感じますね。{/netabare}
・「ラブ」「コメ」「エロ」を上手く描き、テンポもいい
{netabare}・「ラブ」については明確に恋心が芽生えた描写があるのは海夢だけですが、紗
寿叶も五条とのやりとりで何か思うところがあるようで・・・
この辺りの流れもご都合主義ではなく、丁寧かつ自然な感じで上手く描写され
ているのかなっと。
また五条はそういうことに疎いのか明確な恋心の描写はありませんが、海夢と
の2人のシーンは「青春しててエモいなあ」って心に刺さるものがありますね。
・「エロ」は結構ぶっ込んできますwでも大体は「コメ」で落とすという形で上
手く処理されるので、この辺も媚びた作品に成り下がらずにきちんと仕上げて
いるなという印象ですね。
・実はかなりコメディ色の強い作品ですね。そしてこのコメディが非常にテンポ
がよく、それが作品の面白さや視聴しやすさに繋がっているという印象ですね。{/netabare}
「『コスプレ』を題材にしたラブコメ」ということで、「どんな作品なんや?!」
って感じでしたが、
・丁寧な人物描写やテンポのよいラブコメ展開など基本事項はしっかり押さえつつ
・コスプレの面白さも一般ウケするレベルに上手く調整して乗せてきている
という非常にバランスの取れた作品だったかなと思います。
随所に原作者のセンスのよさを垣間見ることができたかなっと。
そしてクローバーワークスの作画のレべルも高く、作品の魅力を十分に引き出して
いたと高評価ですし。
2期制作も決定しており非常に楽しみですが、ただ「コスプレ」の部分は今後どうみ
せていくのかなっと。
1期で結構やり切った感もあるのでどう上積みしていくんだろうと。
(大きなイベント、新キャラ、ハロウィンで五条もコス挑戦とか?)
まあラブコメ展開はこの先が非常に気になりますし、五条の(人間的な)成長物語
にも伸びしろが十分あるので、作品全体としては期待大ですが。