移リ木うらら さんの感想・評価
3.0
物語 : 3.0
作画 : 3.0
声優 : 3.0
音楽 : 3.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
悪意の描き方が上手い
人間の堕ちる様や悪意の発露の瞬間を描くのがとてつもなく上手い。それでいて人の良い面を見ることを忘れない作家さんなんだろうなーって物語をみていて思った。
落ちきってしまうと全部のことが順平くん視点みたいにみえるし。
どうやったら良い事を見れるのかなとかどうやったら失望しないで生きられるかなとかそういう目線でこのアニメをみると得られるものがとてつもなく大きい。
私は善性のみで生きている虎杖みたいな主人公が本当に嫌いだし、そういうモノに救われる物語が反吐が出る程嫌いだったんだけど、それくらい色々絶望する経験を自分の人生でしているから。だからその理屈が自分の考え方や物の見方だって頭では分かっていても、もう拒否反反応を消せなかったんだよね。
でも、「懐玉・玉折」みてから呪術廻戦ってどんな話だったけって最初から見直していて虎杖みたいな人とかその人の何気ない言動とか在りようとか本当に美しいし愛おしいなって思い直して。
懐玉・玉折も含め呪術廻戦で描かれているのって、SNSが普及して人の悪意が容易に見えるこの世界で、何かを評価するために、何かを非難するために、何かを定型に当てはめるために、酷い言葉を使って他人を嘲笑う人もいるし、それに晒されない様に悪意で鼓舞して自己否定と自己犠牲に当てはめて自分を殺す人もいるし。
そういう思いをどう扱うかを漫画っていう媒体に落とし込んで、冷静に、安全な場所で、落ち着いて考え直させてくれるお話だなーと思いました。
正直悪意を中心に添えた作品でそれを浄化できる視点を貰えるとは全く思ってなかったから。こんな感想を自分が持ったことにも驚いたけど。まぁそれだけよくできてるってことだと思います!悪意と愛の描き方が本当に素晴らし。のめり込んでみてもあらゆる感情を揺さぶられて体感を引き起こされるけれど、だからこそ引いた俯瞰視点でみると自分がそこにいるわけではないからこそ気づかされることも多かったです。