薄雪草 さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 3.5
状態:観終わった
人類知を知る物語
先ずは、漫画がアニメ化されたことに感謝です。
手塚治虫氏の着想、構想、落とし所は、ベタに表現されていたと感じました。
その意味では、原作を知らない方には、未知のものと面白く観られるのではないかと思います。
でも、望郷編をよく知る方、シリーズとして読み込まれている方には、果たしてどうでしょうか。
あえて申し上げれば、復習しないで観ていただくほうが、いくらか補正も入れながらの楽しさや懐かしさがあるかなぁと思います。
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本作の内容については、火の鳥のコアをなすハードSFのエッセンスと、人間のさがと業腹、永遠の愛と絆がしっかり織り込まれているといったところです。
私はシリーズを何度も読んでいますので、アニメに演出された新しい要素が楽しめたかどうかがポイントになりました。
で、どうだったかと言うと、もともと大きなテーマを掲げている火の鳥に対して、このエデンの花だけでは、いくらか切り取った感が残ってしまいました。
そんなわけで、漫画の望郷編を読んでいない方や、これからご覧になられる方には、本当にそれぞれの印象と解釈に依るのだろうなと思います。
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日曜日のお昼の回を鑑賞したのですが、お客さんは1割も満たず、ご高齢の方が目立ちました。
さすがに「いやいや、これは大コケしてしまうかも・・」とちょっと心配になってしまいました。
ハードSFは、物語を俯瞰すること自体がなかなか難しいものです。
なので、初見の方には、シナリオを追いかけながら、理解を広げていく作業が求められるでしょう。
ハードルはやや高めですが、名作漫画のアニメ化は貴重だと思いますので、エポックとしてでもご覧いただければと願っています。
ひとことで言えば、「アダルティな雰囲気が楽しめた。まさに望郷編だった。」
としておきます。