ヘンゼル さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.5
作画 : 3.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
失った者は返ってこない、戦争とはそういうものだ
NETFLIXにて全話視聴済み。
原作の無いオリジナルアニメとして始まった本作ですが、戦争と悲哀をテーマにここまでアニメーションとして描けた作品は中々無いと思います。
ただ最後の方は駆け足気味で半ば打ち切りのような感じだったというのは聞いていましたが、それも正直気にならない程、物語の完成度が高い作品だと思いました。
本作は全43話と現代のアニメとは約4倍、もしくは約2倍のボリュームです。
本作が放送していた当時は1年間放送している作品が主流だったため、当時としては長くない本作ですが、それでも長いと感じる方は多いと思います。
そのため一気見には向いていない作品だと言えるでしょう。
作画としての評価ですが、放送当時から色々な作画崩壊を起こしていたようです。特に複雑な形状である本作の主役ガンダムの作画にはムラがあります。
顔の形状がおかしかったり極端に大きく描いてしまっていたりと、もしかしたら本作を知らなくても作画崩壊したシーンだけは知っているという方もいるでしょう。
ガンダム以外の作画は全体を通してみて特におかしな点はありませんでしたので、そこは安心して観られると思います。
物語としては戦争の悲哀、人間の出会いと別れが主軸となって描かれています。
主人公たちはホワイトベースと呼ばれる宇宙船に乗り、追手から逃げながら、宇宙船に格納されたガンダムやガンキャノンといったロボットに乗って戦います。
その際に仲間が命を落とす事もありますが、ただ哀しいだけで終わることなく、託されたモノや遺志、願いによって徐々に主人公たち一行の戦争に対する向き合い方が変わっていきます。
特にそれが分かりやすいのはカイ・シデンでしょうか。
人の死が今を生きる者達にある種の覚悟を与え、それが物語を上手く動かしていてとても考えさせられる深い作品だなと感じました。
キャラ描写としては群像劇ではあり、色々な視点から本作は語られます。主人公のアムロ、幼馴染のフラウ、正体不明のセイラ、仲間であるカイ、宇宙船の指揮官となったブライト、敵側のシャアやランバラルなど、挙げだしたらキリがありませんが、様々な視点から本作の「戦争」というものは語られます。
勝利しなければならない、愛する人と一緒に居たい、平和に暮らしたい、戦争を止めたい、死にたくないなどの様々な意志や感情が、戦争というものを動かしていきます。
本作はそういった意志や動機をキャラに割り当てていると観ていて分かりました。
そのため生まれるドラマの質がとても良かったです。
本作は既に40年以上前の作品ですが、気になる方は是非一度視聴してみてはいかがでしょうか。