てとてと さんの感想・評価
3.5
物語 : 2.5
作画 : 4.5
声優 : 3.5
音楽 : 3.5
キャラ : 3.5
状態:観終わった
魔女っ娘が魔法なんて要らない…は興醒め。内容は素晴らしいだけに、反進歩的作風が鼻に付く
「借りぐらしのアリエッティ」と「思い出のマーニー」の米林宏昌監督作品。100分ほどのアニメ映画。
※作品データベース様より転載
【良い点】
古き良きイギリスという舞台で、古式ゆかしい西洋児童文学の王道を、ジブリ仕込みな技術で作り上げた、手堅い内容。
作画水準は素晴らしく、古き良き…な雰囲気を余すところなく描写、この雰囲気自体が魅力的。
優しく包容力のある大叔母様や家政婦さんとメアリちゃんとのアットホームな関係も素敵。
大筋のテーマ、子供が焦らず変わらず健やかに成長して欲しい、なメッセージ自体は古臭くはあっても普遍的な良さはある。
魔女界で大冒険する展開もスムーズで分かり易い。
ピンチの少年ピーターを助けに行く、メアリとピーターが力を合わせて危機を乗り越えていく。
二人は知恵も勇気も抜群で、魔法だけに頼らぬ力強さが好印象。
キーアイテムゲットやゲストキャラたちとの交流が、終盤の逆転劇に活きてくる脚本も上手い。
キャラクターも個性的というほどではないが安定感がある。
箒の番人が教訓めいたセリフで印象的。
【悪い点】
あまりにも露骨な反進歩主義的作風。
メアリ自身が魔法を全く楽しんでいない。
メアリ(と視聴者)から見た魔法や魔法界は、ボーイフレンドと自分が危険な目に遭うばかりな嫌な印象しかなく、
「魔法なんていらない」と言っちゃうのも是非も無し…。
これに加えて悪役の描写から魔法=原子力?悪しき科学文明?の風刺であろう事が露骨に出てしまっている。
その思想自体の是非はともかく、魔法に対する浪漫を全否定しているため、夢の無いつまんねー作品な印象。
ジブリ作品も反進歩主義的なのは同様であっても、ハラハラドキドキな浪漫があるから楽しいのに。
アニメは幻想、ファンタジーが楽しいのに、ファンタジーアニメでありながらファンタジーを拒絶して何が楽しいのやら…
メアリやピーターなどキャラは悪くないものの、優等生的で地味。
特に惹かれるような魅力に乏しい、これは魔法ファンタジーを楽しめていないのと、古臭い変わらぬ良さありきの結論のために魔法ファンタジーを当て馬にしているため。
最初から結論が出ている、途中の冒険での掘り下げや成長の意味があまり感じない。
よって、児童向けの教育的作品として見ても微妙に思える。
【総合評価】2~3点
良質か否か?と問われれば間違いなく良質なアニメ作品。
なんだけど、楽しいか否か?と問われれば、自分的に非常につまんねーアニメ。
評価は「悪い」。できればとても悪いを付けたいのを自重して。
内容自体は良い系が妥当であろうことは理屈では分かる、でも、評価なんて所詮は感情なので…
内容が悪ければ素直に酷評できるのに、なまじ良く出来ているのが気に食わない。