nyaro さんの感想・評価
3.8
物語 : 3.5
作画 : 4.0
声優 : 3.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
古すぎてかえって新鮮でスタイリッシュ。軸になる物語はない。
なぜ、この作品の全話がユーチューブでお勧めに上がって来たのかはよくわかりませんが、結局ポツポツ見てたら全部みてました。全29話ですね。
原作者の白土三平と言えば劇画「カムイ伝」という精神がやられるというか、分断と差別の極みというか、死が隣にあるような生活というか、近代民主主義あるいは共産主義的な解放運動というか、そういう重ーい話が有名です。
一方で「カムイ外伝」は、題名はスピンオフっぽいですが、なんというかもうちょっとライトというか主義主張と言うより、忍者の戦いを延々と続ける感じです。
本作「サスケ」は「カムイ外伝」のテイストに近い話です。忍術のそれっぽい解説とか闘いの描写がカッコイイ話になっています。ただ、なんというか子供や女性が巻き込まれたり、命のやり取りに意味がない感じとか、どこか寂しく虚しい雰囲気がある作品です。
今と多分作劇の作法が違うので、かえって新鮮な感じがしました。柳生とか真田とか甲賀とか、いろいろ固有名詞がでてきますが、当時の基礎教養なのでしょう。特に解説はないですが、基本知らなくても楽しめます。
印象に残るのは前半の鬼姫という娘の話と、忍術を習いたい4人の子供の話です。どちらもちょっと厳しい話です。
最近…というほど最近じゃないですけど「あずみ」的ではあります。が、あれはまだストーリーに若干意味性がありましたし、本作には「あずみ」冒頭のショッキングな展開のような仕掛けはありません。最後も精神がやられるような終わり方ではないです。
女の死が残酷でしかもエロいことで有名な白土三平氏ですが、そこもちょっと似ていて「あずみ」作者の小山ゆう氏は影響を受けているのかな?という気もします。本作の女性たちも、手塚治虫とは違う妙な色気があります。アニメとかマンガって本当に不思議で、なんでこんな簡単な線に色気を感じるんだろう?というのはこの時代のマンガ家を見ていると、不思議に感じます。
1968年???という古の作品で、もちろんアニメ技術は今と全然違いますが、違い過ぎて、マジンガーとかヤマトとかのような作画技術のレベルの違いで見るに堪えないという感じではなく、むしろスタイリッシュな感じすらあります。
主題歌はまあ知合いの相当年上の方がカラオケで歌うくらいメジャーです。もちろん素晴らしい曲です。
評価は…うーん。オール3と言いたいですけど、それよりはずっといいです。ストーリーと声優は3.5、キャラと作画と曲は4にしたいですね。