てとてと さんの感想・評価
4.5
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 5.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
セカイ系鬱ロボットアニメの傑作。原作ブレイクが賛否だけどアニメ版も悪くない
「なるたる」の鬼頭莫宏氏原作の、操縦したら死、勝っても死、負けても世界消滅という、鬱な群像劇ロボットアニメ。
※作品データベース様より転載
【良い点】
いわゆる「セカイ系」の壮絶かつシンプルな世界観からの、少年少女たちが自らの死とセカイとの関わりに葛藤する様を描き切った傑作。
まだ中学生で自分が生きる意味さえ知らぬ子供たちが否応なくセカイの命運をかけて死なねばならない。
リアルならばまずあり得ないであろう展開を強いる為の壮絶なセカイ系である。
その時何を思い、何を叫び、何を見るのか…
15人の子供たちのキャラクターも境遇も千差万別、良い子もいれば歪んだ子もいたが、その全ての生き死にに強烈な印象があった。
テーマは難しいようでいてシンプル、1話の子供たちがそれぞれの人生観披露するシーンに凝縮されていた。
色んな考え方があり、どれが正しい間違っているわけでもない。
それでも概ね「人は誰かの為に生きる」というメッセージを感じる。
その点で最も王道だった、きょうだいの為に散ったダイチの生き様は美しかったが同時に危うい。
(NHKの特番で、ダイチの論理は神風特攻隊だという識者の見解あり、なるほどと思った)
ロボット・ジアースの泥臭いが鬼気迫るアクション。
圧倒的巨体故にスローに見えるのは他ロボットアニメには無い凄みがあって良いと思った。
(原作者は酷評されているが、自分は戦闘に関してはアニメ版の方が好き)
OP「アンインストール」が抜群の名曲。アニソン史上でも屈指の名主題歌。
おそらくアニメ版ぼくらの本編よりも、この曲の方が評価が高いのでは。
前後編のEDもそれぞれ良かった。
ウシロがラストバトルで仲間たちを回想するシーン。
臆病なカコもちゃんとフォローしていたり、サイコパスなコダマの気持ちも理解したり、この回想で本作全般の評価上がった。
最後の締めも悲しくもあるが後味は悪くはなく、上手いと思う。
後半のアニオリは悪い面も多いが、大人たちも関わる事で世界観と後半組のドラマに深みが出た面もある。
古茂田議員の高潔さやカンジ母の研究者と母親の挟間で揺れる姿など、悪くない。
ヤクザの保は微妙なところだが子供たちの成長に寄与した。
カナちゃんが可愛かった。
【悪い点】
やはり原作には見劣りする面が多い。
チズと先生(スクイズの伊藤誠よりこいつのがクズ度上だと思う)の経緯などマイルドになったのは良いが、チズがただのヤンデレみたいに見えてしまう。
保さんはともかく、ウシロ実父の任侠話は場違い。
ウシロの成長促すならば、やはり子供たち同士で交流して欲しかった。
後半の大人側のドラマは良い面もあるが弊害も大きかった。
【総合評価】9点
セカイ系の名作の一角。
原作ファンからは酷評されがちだけど、アニメ版はアニメ版の良さもあり自分は両方好き。
小説版も細部が異なり、それぞれ別の地球の話と見れば、アニメ版もアリだと思う。
評価は最高には届かない「とても良い」
アニメ版も良かったけれど、やはり最後まで原作準拠のぼくらのも見てみたかった。