Witch さんの感想・評価
4.3
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
いい意味で「もしドラ」の(そもそもの)コンセプトに近いものを感じた
【レビューNo.93】(初回登録:2023/11/4)
コミック原作の2022年作品。全24話。
今期の秋アニメも80本位あるんでしたっけ。もう多すぎでゲンナリですね。
今期は新規分は最小限に留めて、古い作品や2期が決定してる作品のレビューを
中心に活動してみようかと。
(他のレビュアーさんの評価から面白そうなのを後追いでもいいかと)
で、古い作品紹介が続いたので2期決定分として、まずはリアタイでレビューし
そこねた本作について重い腰を上げることに。
(ストーリー)
日本代表がサッカーW杯を2010年大会以来、8年ぶりにベスト16で終えた2018年。
日本フットボール連合は日本をW杯優勝に導くストライカーを養成すべく、ユー
ス年代のFW300人を対象とした青い監獄プロジェクトを起ち上げ、ブルーロック
と呼ばれる施設を建設する。
この強化指定選手に、高校サッカー界では無名の潔世一も選ばれる。
ブルーロックでは世界屈指のストライカーを育成するために
・数々の選考試験を実施し、FW300人が生き残りを懸けて戦う(サバイバル)。
・失格者は日本代表入りの資格を永久に失う。
という過酷なものであった。
そして当プロジェクトの責任者である絵心甚八が声高に言い放つ!
「世界一のエゴイストでなければ、世界一のストライカーにはなれない!!」
その言葉に後押しされるように、選ばれた猛者達がブルーロックの扉の向こうへ
と駆け出していくのだった。
(評 価)
・衝撃的な幕開けも内容は割と普通のサッカーアニメ
最初は
「FW300人のサバイバルゲームってどんな作品やねん?!」
という感じでしたが、内容は割と普通のサッカーアニメです。
{netabare}・ウォーミングアップ程度の「入寮テスト」で最初の脱落者を選定すると、
1次選考では11人で即席チームを組みリーグ戦という、極めて普通にサッカ
ーをします。(正直ちょっと拍子抜けだったw)
その後の2次選考も2〜4人のミニゲームと、この辺もサッカーの選考試験と
しては、まあ普通かなっと。
・登場する選手も、今までのサッカー作品でよく描かれているタイプの「スピ
ードスター」「天才ドリブラー」「フィジカルモンスター」等さほど目新し
さはありません。
・でも魅せ方は上手いので、普通のサッカーアニメとして十分楽しめます。
・キャラの掘り下げや作画、ここぞいうシーンのカットやエフェクト等基本
的な部分はしっかり抑えている。
・基本はチーム戦。個性が強いキャラ同士がぶつかりながらも、互いの良さ
を引き出しながら勝ち残っていく王道展開。
・その上で「個」、自分の成長なくして生き残りはありえない訳で、
・自分の現状把握および今できる最前手は?
・成長の過程で互いの個性を喰らい合う熱い「出し抜き合い」etc
後述しますが、「生存戦略」的な部分はかなり見応えがあります。
始めは傑出した武器がなく苦悩する潔ですが、必死に足掻くうちに自分の
可能性に気づき、ストライカ—として生きる道に光を見い出すという主人公
成長物語がしっかり描かれていますので、作品に安定感がありますね。
・そして試験毎にチームメイトが変わり、この展開が早いので、
「強敵だったアイツが今度は味方に!(その逆も然り)」
というバリエーションの豊富さも、この作品の魅力の一つと言えます。{/netabare}
・いい意味で「もしドラ」の(そもそもの)コンセプトに近いものを感じた
最初は普通のサッカーアニメとして観ていたのですが、途中から違う感情を抱
くようになりました。
・「もしドラ」って、そもそものコンセプトは「ドラッカーのマネージメント
理論」を高校の野球部に落とし込み、分かりやすく理解してもらおうという
ものだったはずなんです。結果はまあ・・・
{netabare}本作は絵心の言葉や潔の思考過程等が
「受験やビジネスに応用できる自己啓発本や成功哲学的な発想やん!」
って感じなんですよね。
・例えば潔の言葉
「変わるってのは自分を壊すことからしか始まらない。」
→ これってビジネスでよく語られる「ゼロベース思考」の発想だよね。
また絵心の言葉
「”たまたま”勝つな。勝つべくして勝ち獲れ。」
に代表されるように、本作では「再現性」とその「方程式」の話が度々出て
きますが、これも受験や自己啓発の心得等でよく出てくるテーマですね。
・上述潔の成長物語が心に刺さるのは、単に「根性論」とかだけで頑張るので
はなく、その思考過程が論理的に順序立てて組みあがっていく様に説得力が
あり、視覚効果も上手く活用して(パズルのピースがはまっていくような描
写等)面白く演出されているからなんだと思います。まさに
「成功哲学を『一流のストライカー育成』に落とし込むとこういう思考手順
になります。」
みたいな。
・それにこの年娘が丁度受験生だったから、娘に口酸っぱくいってた言葉が、
絵心語録等とカブってるやん!!ってのが結構多かったんだよなwww{/netabare}
・「絵心甚八」とかいう優れたプレゼンター
そしてこの作品のもう一つの魅力が、絵心甚八の優れたプレゼン能力ですね。
同じアドバイス等でもそれが響く状況やどういう言葉が自分にしっくりくるか
というのがあると思うのですが、絵心=原作者はそういうところが上手いなと。
{netabare}・絵心語録の一例ですが、
「才能という熱い原石は磨かなければ自己満足のゴミと化す」
「”絶望”しても尚戦わんとする人間に”夢を叶える”能力は宿る」
「才能とは『己の能力を証明する力』のコトだ」
ホントに言葉選びがキャッチーですね。これを神谷浩史さんの絵心らしい不
遜な演技で見せていくという・・・
・それに日本フットボール連合の老害どもに、ガツンとかます様など絵心のキ
ャラはハマる人にはとことんハマるんだろうなっと。
私も途中からは、絵心を楽しみに観てたところがありますね。
ただみる人からみると「イキった厨ニキャラ」というアンチ的な層も一定数
いそうですがw{/netabare}
上述のように普通のサッカーアニメとしても高水準を保っていると思うので、そ
れだけでも十分面白いですし、絵心の言葉や潔の思考過程等に注目すればまた違
った面白さがあると思います。
本当中高校生なんかが、そういう成功哲学や論理的思考の入門書として勉強する
上でも結構役立つ教材だと感じるのですが。
(結構受験勉強等に応用できる内容も多いかなっと。
ただそこを読み取るにはそこそこ力がいりそうですが。)