ヘンゼル さんの感想・評価
4.6
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 5.0
状態:観終わった
競馬界の負の側面を落とし込んだ神作品
第1期はサイレンススズカの怪我以外は、主人公であるスペシャルウィークの成長と快進撃が主な内容であり、実際の競馬でいう所のいわゆる「輝かしい一面」がテーマとして顕著に表れているなと感じました。
しかし第2期は、主役であるトーカイテイオーをはじめ、ライスシャワーやメジロマックイーン、ナイスネイチャ、ツインターボなど、「レースは強いが怪我をしてしまう」、「人気と不人気の観客の反応の差」、「怪我はしないがレースには勝てない」といった競馬界の負の側面が主なテーマであると感じました。
走るという単純明快なスポーツですが、実際の競馬と同じように1000メートル以上を走るため、その際に起こる駆け引きやその演出には目を見張るものがありました。そのため、スポ根物として見るのも非常におすすめです。
と、つらつらと述べましたが、一言でいうなら「泣けるアニメ」です。
正直、自分はスポ根物で泣いたことは無いんですが、トーカイテイオーの気持ちに感情移入するとマジで凄く苦しいし、辛い。
メジロマックイーンというライバルがいて、その子が先に進んでしまうほど焦燥と不安、そして何より自分の不甲斐なさと情けなさに打ちひしがれてしまうのが、もう・・・。
終盤でメジロマックイーンも治るのが難しい怪我に罹ってしまうし、はっきり言ってトーカイテイオーにも視聴者にも優しくない展開が続きます。
しかし、そんな怪我の苦しみと挫折を乗り越えて、トーカイテイオーがレースに返り咲き、1位を獲った展開は非常に、言葉にできないほどの感動を覚えましたし、実際泣きましたね。
メジロマックイーンとのライバル関係も更に互いを高め、支えあう良い関係になりますし、何より忘れかけていた「走る事の楽しさ」が最後のシーンで表現できていたのではないかと思いましたね。
ライスシャワーは本作品の本筋のストーリーとは少しずれますが、誰が勝つかで応援しているファンをがっかりさせてしまう事がある、というウマ娘の世界の現実を知れましたし、ミホノブルボンとの掛け合いも面白かったですね。
そして何より、本作の立役者であるツインターボは私の中でお気に入りのキャラです。凄いよ、ツインターボは。お前がナンバー1だ!
強いて言えば、第1期の主人公や所属するチームメンバーの活躍が少なかったところが、本作の悪い所ですかね。
しかしながらそれらを帳消しにするぐらい、話の完成度も、キャラクター描写も、作画もどれも高水準でまとまっていましたので、稀に見る素晴らしい作品だったと思います。
ぜひ一度ご覧になってはいかがでしょうか。損はしない作品だと思います。