てとてと さんの感想・評価
3.3
物語 : 2.5
作画 : 4.0
声優 : 3.5
音楽 : 2.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
男子中学生たちが毒親にめげずソフトテニスに打ち込む良質な青春劇…終わり悪くて台無し、非常に勿体無い
男子中学生たちのソフトテニスを描いたスポーツ青春ドラマ…と、毒親アニメ。
全24話予定が打ち切られ、実質全12話。
【良い点】
意外と珍しい男子中学生の交流や成長劇。
弱小ソフトテニス部のダメな男の子たちが、天才肌の転校生を加えて以降成長していくスポーツ青春の王道。
ベタながら王道部分が秀逸で、一癖ある個性的な男子たちが最初は対立したり挫折しつつ、少しずつ打ち解けて良い雰囲気になっていき、各々の個性と理解が進むたびに自然と強くなっていく。
天才肌の主人公・マキがかなり屈折した嫌な奴(過程環境故無理もない)と思いきや、一人一人をよく見ており、彼の影響で弱小男子たちが変わっていく過程が分かり易い。
その成果としての終盤の試合での良きチームとしての結束や盛り上がりは相当なもの、緊迫した試合展開も相まってカタルシスは十分だった。
男子ソフトテニス部の面々もそこそこキャラが立っていて、どちらかというと草食系が多いためか、マキがかき回す割にはギスギスが抑えられていた感も。
高校生ではなく中学生というのもポイントで、少し幼い感じの雰囲気がよく表れていた。
その他(毒親以外)も好感持てるキャラ多く、当初男子をバカにしていた女子たちも成長していく男子たちを見直したり、太った生徒会長も好意的だったり、ライバルキャラが気持ちの良い野郎だったりと良い感じ。
あと、口は悪いが根は男子たちを応援してくれるカナコちゃんがかなり可愛かった。
ソフトテニスの試合描写が見応えある。
凄い良作画というわけでもないが、要所を動かして分かり易くソフトテニスの躍動感が伝わってくる。
試合シーンの良さが、交流と成長の成果としてのドラマの盛り上がりに繋がっている。
【悪い点】
毒親。あまりにも陰鬱過ぎる家庭環境の闇が台無しにしている。
男子部員全員が闇を抱えている徹底ぶり、少しでも良い感じの青春路線になるたびに冷水を浴びせられる。
特にマキの父がシャレにならない犯罪者。
本作の意図は分からないが、毒親に耐えても子供は逞しく成長できるということだろうか?
打ち切られたため未知数だけど、子供たちが親との関係を解決するのは残り12話でも絶望的に思える。
なぜならば問題は全て毒親にあり、親をどうにかしなければ根本的な解決が見込めないから。
その解決も最早当事者間ではどうにもならない。社会的・法的な領域に入っている。
それらは青春スポーツドラマとは致命的に噛み合わない。
12話で嫌な形での打ち切り。
せっかく試合で盛り上がり良い雰囲気の青春劇が、毒親の存在で台無し…からの終了。
後味が悪すぎる。
ここから残り12話で挽回する予定も、最早絵に描いた餅。視聴者としては12話分で評価せざるを得ない。
EDは不祥事は別にしても、作風に合っていない。
【総合評価】2点
スポーツ青春部分だけを見れば間違いなく良作の域だった。
赤根監督が何故毒親の闇を前面に打ち出す作風にしたのか?結局何を描きたかったのか?
24話あれば最終的にどう落着させたのかは今となっては知る由も無いけれど…
毒親要らなかったに尽きる。
毒親要素さえ無ければ普通に良作だったろうに。非常に勿体ない。
評価は精一杯好意的に見て「とても悪い」
盤外の不祥事、EDの騒動に関しては、迅速に和解したのでむしろ好意的。
(ハイスコアガールよりは遙かに傷は浅い)