タック二階堂 さんの感想・評価
4.7
物語 : 5.0
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 5.0
状態:観終わった
鬼才・浦沢直樹の世界と名作「地上最大のロボット」を見事に再現。
詳細は公式サイトでも。
原作は手塚治虫「鉄腕アトム」の1エピソード「地上最大のロボット」を、浦沢直樹の手でリメイクされた小学館『ビッグコミックオリジナル』に連載されたコミック『PLUTO』です。制作は、MAPPAから独立して立ち上げられたスタジオM2。過去に「鬼平」を制作しています。そして、言うまでもなく手塚プロダクションが協力として参画。監督の河口俊夫氏も手塚プロ所属です。
そして、Netflixオリジナルで全話独占配信となっています。
「地上最大のロボット」は幼少期に読んで衝撃を受けた作品。僕は特にオーストラリアのエプシロンの回が好きで、プルートゥに敗れる寸前のエプシロンの「光を…」というコマは今でも鮮明に思い出せるほどです。
そんな「地上最大のロボット」を、「YAWARA!」「20世紀少年」の浦沢直樹がリメイクした「PLUTO」。これは1巻しか読んでいないのですが、原作にリスペクトを感じる名作となっていることは承知しています。
んで…
=====第1話視聴後、所感です。
{netabare}
初回は1時間ちょいの尺。
ロボット刑事・ゲジヒト(独)の視点から描かれる本作。まずは得体の知れない脅威が迫っていることを2つの事件から見せ、そしてゲジヒトのロボットでありながら人工知能が悪夢を見るという謎を提示します。
そして1話メインのエピソードが、偏屈な老音楽家・サー=ダンカンと、かつての紛争でロボット兵を大量に破壊した執事・ノース2号との交流。そして、別れ。
ノース2号に対して心を許さなかったダンカンが、少しずつノース2号に対して自分と同じものを感じ、歩み寄っていったさなかに襲いかかる正体不明の脅威。そして、主を守るという使命で脅威(プルートゥ)との戦闘によって命を落とすシーンは、涙を止められませんでした。
もちろん、原作の素晴らしさはありますが、それを見事にアニメーションとして昇華させている印象。ちょっとこれは別格の作品と言わざるを得ないですね。とりあえず1話を観ての感想として記しておきます。続きは最終話視聴後に。
{/netabare}
=====最終話視聴後、感想です。
{netabare}
これ、全話1時間尺なんですね。要は通常のTVアニメだったら16話分ということになるんですかね。
とにかくクオリティの高い作品。そりゃ、手塚先生の作品で手塚プロが協力に入って、作者が浦沢直樹、配信がネトフリですから、下手なものは出せないというプレッシャーは半端なかったと思います。
で、結論から言えば期待以上の作品に仕上がっていたという印象です。
コミックスを1巻しか読んでいないだけに、ほぼ初見のストーリー。原作の「地上最大のロボット」から、ずいぶんとアレンジしているのですね。
ゲジヒトはプルートゥの角に裂かれて死ぬのが原作でしたが、本作では花売りの子供ロボットに撃たれるわけですね。まあ、確かに電流攻撃が通じないゲジヒトが角を両手で持ったところを真っ二つに裂かれるのは、いくらなんでも残酷すぎますもんね。
アブラーの企みも、こういうストーリーがあると腑に落ちるところがありました。良いアレンジだったんじゃないでしょうか。
ただまあ、欲を言えばプルートゥがもっとアトムと心を通わせる展開があればよかったのかなと。原作の噴火を抑えるために大きな岩を協力して噴火口に投げ入れるシーンとか、あれはあれで好きだったんですけどね。
とはいえ、非常に満足感の高い作品でした。
時間と予算をたっぷり使い、浦沢直樹の全面的な協力を得て、文句なしの作品に仕上がったと思います。傑作です。
欲を言えば、エプシロンは一角のツノで攻撃するスタイルであってほしかったですけどねw
{/netabare}