てとてと さんの感想・評価
4.1
物語 : 4.0
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 3.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
可愛く勢いのあるハートフルドタバタコメディー。難も多いが良作
ハートフル要素もあるドタバタコメディー。作者は「双星の陰陽師」の助野嘉昭氏。
本作も放送局が少なく関東と関西圏以外では視聴手段が少なかったアニメの一つ。
※作品データベース様より転載
【良い点】
銀魂スタッフのアニメらしい、テンポ良くキレのあるドタバタコメディー。良い意味で古典的な楽しさ。
個性的キャラの層も厚く、メインの市子と紅葉その他によるドツキ漫才めいたノリ。
神の異能や謎アイテムなどによる何でもアリ感でカオスなドタバタコメディーが加速する。
全編を通して、主人公の市子が本当に大切な幸福を知っていくドラマが分かり易く描かれる。
「幸福エナジー」は単に因果律的に有利な結果生むだけで、それで幸福になるわけではない。
ラッキーマン状態な「幸運」を持ちながら、「幸福」とは真逆の孤独な境遇と捻じ曲がった性格な市子が、貧乏神の紅葉ら騒がしい連中と関わっていく。
貧困だがきょうだいと気高く生きる石蕗(つわぶき)や、裏表の無い嵐丸との交流に当初は激しく苛立ちながら、少しずつ彼ら彼女らの善性を受け入れていく…
個々の話はベタではあるが、非常に手堅く王道的な良さがあり、作品に込められたメッセージが明快かつ痛快。
普遍的な良きテーマがある。
市子がチョロくないヒロインなのが見所。終始「良い性格してる」本質は揺らがず。
本作は終始市子が攻略対象になっているが中々デレない手強いヒロインだった感じ、安易にほだされず自分らしさは曲げず、でもちょっぴり他者を思いやる塩梅が良い。
ドタバタコメディーの勢いを崩さない中で、ハートフルなドラマも自然体で進める、手堅くバランスの取れた内容だった。
ジャンプSQ作品らしく、ジャンプ系作品のパロディー使いまくるのも笑い所。使い方も上手い。
11話のデスノートネタが一番ツボだった。
9話はジャンプではなくガンダムF91ネタ「質量を持った残像だというのか!?」はガンダムファン的にツボ。
作画は市子のキャラデザが可愛く、お色気サービスもレベルが高い。
謎の光などの無粋な規制をせず健全なエロス多く好感持てる。11話の風呂回はベタながらこういうのでいいんだよの極致。
スタイルが健康的で好感持てる可愛さ、さりげないアングルも良い。
カオスなドタバタシーンやアクション作画もキレがあり申し分なし。
声優陣は花澤香菜氏の汚い(良い意味で)系な演技が絶品。
花澤氏はこの頃から可憐系や妹系以外のエキセントリックな役増えてきた印象。
【悪い点】
コメディーは市子がドツく一辺倒でやや単調に感じる面も。
1話1話はそこそこ面白いが、13話通して見るとやや飽きる。
作風が若干ではあるが説教臭い。幸運だが孤独で不幸な市子を、紅葉筆頭に周囲が良い方向に導く流れが基本なのは美点ではあるが、
やや押し付けがましさも。
市子が苛立つシリアス要素がコメディーに水を差していた感も。
8話など、主にモブ女子に嫌なキャラ多いのも難。
嵐丸に救われたスケバンが最後まで改心せず、後味が悪い。
彼女は原作では改心している模様、アニメ版の尺では終始嫌なキャラで終わっている。
7話で市子が嵐丸に冤罪着せてその後のフォローも無いのが引っ掛かる。
コメディーで済ますにはちょっと笑えない。
市子がチョロくない故か、ラブコメや百合友情路線になりそうでいてならない中途半端さ。
3話登場の石蕗と一切ラブコメの波動感じさせず、紅葉や嵐丸にも中々デレない。
ここは本作というか市子の持ち味でもあるが、とっつき難さも感じる。
【総合評価】7~6点
ドタバタコメディーとハートフルのバランスの取れた良作。
他論客も仰る通り、こういうタイプのアニメは夕方帯で流すのに向いていそう。
規制の厳しい昨今では肌色多めがネックだけど…
評価はとても良い…か迷うが厳しく見て、とても良いにかなり近い「良い」
好感持てる良作ではあるんだけど、コメディーもシリアスもあと一歩惜しいというか、引っ掛かるというか。