てとてと さんの感想・評価
3.5
物語 : 3.0
作画 : 4.0
声優 : 3.5
音楽 : 4.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
名作の予感漂わせて何も始まらなかった。雰囲気は良さげなだけに勿体無い
砂の海を舞台に、異能持ちで短命な子供たちが動乱に翻弄されていく感じのファンタジー。
※作品データベース様より転載
【良い点】
極めて独創的な舞台設定と、それを活かした魅力的な雰囲気。
壮大な冒険ファンタジー感が漂い、雰囲気だけで名作(ぽい)期待感抱かせる。
主人公たちが異能と引き代えに30歳前後しか生きられぬ短命で、閉ざされた楽園しか知らぬ無知など、危うい儚さがある。
主人公たちは無知で、視聴者目線では悲劇が不可避であろう事が分かる、それでも無垢に進み続ける子供たち…
「君は知るだろう…」的な儚いハラハラ感が半端無い。
作画、楽曲などアニメーションも良質。独創的世界観の魅力をしっかり感じさせる。
独創的世界観や設定からの、この世界にまつわる謎や、襲撃してくる外の世界の思惑など、興味を惹かれる。
断片的な考察材料は適宜開示されており、さほど難解ではないのも良い。
視聴していけば何となくこうなんだろうな?というのはすんなりと分かる(気がする)作り。
主人公が記録者という位置付けから、これら魅力的な要素を自然に分かり易く見せてくれる。
主人公たち短命な「サイミヤ(超能力ぽい異能)」持ちの「印(しるし)」たちの閉ざされたコミュニティーの文化や宗教の描写が丁寧で、
独特な世界観を構築しているだろう事が分かる。
2019〜2020年の「ガンダムビルドダイバーズRe:RISE」のエルドラの民に先駆けての文化描写の丁寧さだった。
これにより独創的にして地に足のついたドラマの下地がしっかりしていた。
【悪い点】
主人公たちのメンタリティが根本的な部分で視聴者と乖離していて共感が難しい。
その事にもちゃんと理由がある事は何となく分かるが、ひたすら視聴者と異なる感性のキャラたちの反応見ているのは辛くなる。
無印(長命な無能力者)のスオウが比較的我々に近い感性の持ち主であったが、色々と弱い。
キャラクターが弱い。個々のキャラクターのドラマはありそうでいて薄かった。
主人公は傍観者でモブに近く、ヒロインも空気気味。
帝国側のキャラも掘り下げる前に話が終わってしまった。
主人公たちが主体的にストーリーを作れていない。
巻き込まれ型なのはよいにせよ、リアクションが淡白でまるで盛り上がらず。
最終的に何がやりたくて何を求めるのか?すら開示されず終了。
以上は全て本作独特な世界観設定に起因するキャラ描写だと思われる。
これが独特な魅力を生んでいる一方で、一般的な物語の常道が通じない不可思議な難解さにもなってしまっている。
終始悲劇的で作風が重苦しい。
コメディーがスベっていて面白くない。
一見独創的に見えて、謎や世界観の実態はなんとなく予想が付く範囲。終わってみれば期待したほどではない感じ。
その謎を引っ張り過ぎてテンポが悪い。中盤までの分かり易さが、中盤以降は裏目に出ている。
結局何も分からないうちに終了。
テーマも「感情」を捨てるべきではない的なメッセージはふんわりと分かるが、中途半端。
本来ならば美点なはずの「分かり易さ」が、本作の場合は底の浅さに感じられてしまう。
壮大な物語が始まりそうでいて、結局始まりすらしなかった。この主人公たちでは、この先も始まらなさそう。
続きが気にはなるが、徒労感も強かった。
【総合評価】4~3点
物凄い名作の予感を漂わせつつ、終わってみれば良いのか悪いのか判断すら困難な謎の力作。
駄作と切り捨てるにはあまりに勿体無い魅力はある、けれど、いまいち面白くなかった。
評価は戸惑いつつの「普通」
的外れかもだけど「忘念のザムド」をちょっぴり彷彿としたり。
ちょっとずつ独自の世界観描いていく感じで。