ナノトリノ さんの感想・評価
3.4
物語 : 3.0
作画 : 3.0
声優 : 4.0
音楽 : 3.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
主役は誰だったのか
そんなの考えるまでもなくケーナ嬢なのですが。
実は本体の「各務桂菜」こそ主役だったのかなと。
肉体は事故で半身不随で生命維持装置頼りで生き永らえてる状態。
精神、というか脳は健在のようでVRMMORPGに日々フルダイブ。
そして停電事故により死亡してゲーム内?転生。
病床や老衰でいよいよ死期の迫った人っていろんな欲が消えてある意味悟りの境地に近いというイメージを私的には持っています。(実際にどうかはわかりません)
各務桂菜は生命維持装置頼りではあったけれどそうではなかったのかなと。自身の身体がどうなっているかの自覚があり、明日をも知れぬ状態ながら欲が消えていなかった。欲というとアレですが要は生きる希望、ありうべき未来、ひとことでいうなら夢を持ち続けてたのかなと。
その夢はどんなだったか。ありふれた活躍する日常に憧れてあこがれ続けたのではないか。
自分の足で元気よく病室を飛び出して、人と出会いおしゃべりをして認め認められて一緒に呑み食いして、問題が起きるとこに参上しては知恵と度量で解決して、行き詰まったりめんどくさくなったら実力行使で叩き潰して、立派に育てあげた子供たちには心底尊敬されて。
ありふれたというにはちょっと自分大活躍人生ですが充分日常の範疇です。そしてこれが「リアデイル」でケーナが行っていることです。
リアデイル世界は純然たる異世界のようにも、停電事故死の刹那に見たうたかたの幻のようにも、いわゆるあの世のようにも思えました。
今生でとことんツキのなかった女の子の、この世でかなえられなかったほんのささやかな夢がようやくかなった物語…なんてうがった見方をしながら少し切なくもほほえましい気持ちになりました。多少のイキリや乱暴者なとこだってかわいく見えてくるってなもんです。