てとてと さんの感想・評価
4.1
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.5
音楽 : 3.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
妖精美青年ラブロマンスとしてはシュガーアップルよりも萌える
女性向けライトノベルが原作のファンタジー寄りなラブロマンス&アドベンチャー。全12話。
19世紀イギリスを舞台に、妖精が見えるヒロインが、妖精絡みの闇を抱える美青年と冒険ロマンスしていく。
※作品データベース様より転載
【良い点】
人間と妖精を仲介する「フェアリードクター」の設定。
ごく自然に妖精が絡むファンタジーを構築している。
背景作画が綺麗で、絵的にも舞台背景を楽しめる。
キャラデザも美男美女揃いで申し分ない。
バトルシーンも女性向け作品として見れば中々の緊迫感で悪くはない。
幻想的な諸設定から、ヒロインのリディアが謎の美青年エドガーに冒険とラブロマンスに引き込まれる流れ。
「妖精界に領地を持つ青騎士伯爵」の資格が欲しいけど敵に狙われてる、色々と胡散臭い男だが、リディアを必要としてくれる…
個々の設定はよく分からなくても、全体の流れや現在の目的は常に明快で、リディアがエドガーに求められる展開にうまく繋げている。
終盤の妖精界でのバトルも緊迫感あってよかった。
ラブロマンスも、最終的に決着を付けている。リディアが強いヒロインなのか大きい。
謎の美青年エドガーの魅力。
貴公子然としているが闇の世界に関わってるっぽい胡散臭さ、緑川光ボイスの歯が浮くような甘ったるい睦言連発、とにかく「あざとい」
最初は単にリディアを利用しているだけと見せて、次第に本気で愛していく流れも実にあざとい。
どこまでが冗談でどこまでが本気か。本気で愛する事への照れ隠し気味にあえて軽薄に振る舞っているフシもあり、聡明なリディアもそれを察している関係性が素敵。
リディア(と女性読者・視聴者?)にとって、ほっとけない男な感がハンバ無い。(であろう事が男の自分にも何となく分かる)
リディアもお人形なチョロインではなく、ときめきながらも少しずつ距離を詰めていく感じがラブロマンスとして萌える。
もう一人リディアに惚れてるワイルド系なケルピーも加わり、お姫様状態が加速、女性向け作品として良さげな雰囲気。
リディアが状況に流されない自立した強いヒロインなのも好印象。身持ちが固く、意外と逆ハーレムにならない。
ついでに、リディアの相棒の猫妖精が剽軽かつ冷静なのも良い雰囲気。
他もう一人のヒロイン・妖精のバンシーちゃんが可愛かった。声優もありコードギアスのナナリーっぽい。
虐げられる薄幸さ、健気さ、ポール君を愛する一途さなど、ヒロイン度はリディアより上。
ポール・バンシー組のロマンスの方が分かり易く萌える。
声優陣では緑川光氏に尽きる。エドガーというキャラを緑川氏があざとく演じる、これだけで相当に価値がある。
【悪い点】
良い点と裏腹だけど、ヒロインの身持ちが固すぎて歯がゆい。
女性向けの繊細な作風故に、男視聴者には機微が分かりづらい。
リディアは強い女性ではある一方で、魅力感じるには今一つ地味な印象も。
細部の設定が説明不足。
エドガーが抱える秘密の深い部分が殆どリディアに開示されず、フェアリードクターとして積極的に関わる際に壁を感じる。
エドガーと従者のレイヴンの関係が掘り下げ不足。エドガーとレイヴンにとって大切な女性っぽい、レイヴンの姉の話が中途半端。
後半から出番が目立つ、エドガーの関係者たちの掘り下げが乏しく唐突に感じる。
真のラスボスの存在匂わせておいて未登場なラスト。
全体的に敵の掘り下げとエドガーとの因縁関係が説明不足、ここがラブロマンス以外のストーリー面では物足りない。
EDの男の全裸連発は、面食らうものの特に悪いとは思わない。
そういう趣旨の作品なのは分かってるから。(むしろ笑えるので好意的)
【総合評価】7点
ファンタジー寄りなラブロマンス&アドベンチャーとしてかなり良く出来ている。
評価は迷うところ、とても良いに近いが惜しくも「良い」
悪い点で挙げた要素は本作の楽しみ方の上では些事と思われる。
自分が女性だったならもっと高く評価していたかも。
良作な割に評価が芳しくないのは、男性の無粋な視点が邪魔をしている。