Witch さんの感想・評価
4.5
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
20年以上前の作品でも十分楽しめる普遍的な面白さは、さすがCLAMP!
【レビューNo.91】(初回登録:2023/10/21)
コミック原作で2001年作品。全24話。
今では、(魔法を含め)異能力モノと言えば異世界やゲーム世界への転生で
「凡人でも異能力者になれる」
作品が多いですが、本作は古い作品らしく陰陽師や霊峰高野山だの由緒正し
しき神社の巫女といった「神聖なる力を宿した血筋」という正統派。
そういう意味では、引きニートでもガチャが引けるいい時代になったのか?!
(ストーリー)
母の遺言で沖縄から東京に帰ってきた少年がいた。彼の名は司狼神威。異能を
有する彼には、人類の存亡を懸けた2つの選択肢が示されている。
・「天の龍」となり人類の存続を願う道
・「地の龍」となり人類を汚染とみなし、自然あふれる地球に戻そうとする道
(人類の滅亡)
また「運命の時」が近づいたとして
・「天の龍」陣営 →「七つの封印」と呼ばれる者たち
・「地の龍」陣営 →「七人の御使い」と呼ばれる者たち
それぞれの運命を背負った異能力者たちも、続々と東京に終結しつつあった。
そして司狼神威は決断する。自分は愛する者を守るため「天の龍」になると。
その時、彼の幼馴染で「神威の添星」であった桃生封真が「もう1人の神威」と
して覚醒、「地の龍」として別人格が現れる。
こうして「天の龍」と「地の龍」の「2人の神威」が誕生した今、人類の存亡を
懸けた最終決戦が幕を開ける!!
(評 価)
・CLAMPお得意のスターシステム型のエンターテイメント作品
CLAMPのアニメ化作品といえば「カードキャプターさくら」「XXXHOLiC」
「ツバサ-RESERVoir CHRoNiCLE-」などが有名ですが、本作はそれ以前の作品
となります。
(といってもいまだ原作は完結していないが)
「X」以前の作品「東京BABYLON」等の登場人物が出演するなどクロスオーバ
ー作品でCLAMPお得意のスターシステムを採用しています。
両陣営の登場人物を下記に示します。
『天の龍ー七つの封印(人類の存続)』
{netabare}・司狼神威
「天の龍」と呼ばれる者
・有洙川空汰
高野山の秘蔵っ子で、高野山の開祖に匹敵する力を持つ。
・鬼咒嵐
伊勢の隠し巫女で、伊勢の霊力総てをその身に隠す。
・蒼軌征一狼
風使いの一族の出で一族最高の風使い。
・夏澄火煉
火を操る異能者。
・猫依護刃
三峰神社の孫娘にして、眷属神「犬鬼」を使役する。
・皇昴流
陰陽師の最高峰・皇家当主。(初出は「東京BABYLON」){/netabare}
『地の龍ー七人の御使い(人類の滅亡)』
{netabare}・桃生封真
「地の龍」と呼ばれるもう一人の「神威」
・麒飼遊人
水を操る異能者。(初出は「破軍星戦記」)
・八頭司颯姫
天才ハッカーで、スーパーコンピュータ・獣(ビースト)を操る。
・志勇草薙
草木や動物と話ができる(パワーファイター?)
・桜塚星史郎
皇家と双璧をなす暗殺者集団「桜塚護」。(初出は「東京BABYLON」)
・那吒(なたく)
製薬会社の研究施設で造られた人造人間。
・玖月牙暁
夢見と呼ばれる未来を予見する者。{/netabare}
また「天の龍」の拠点として「CLAMP学園」も登場します。
その他夢見という存在が物語に大きく関わっており、国会議事堂の地下で
国を未来を予見して国事にかかわる丁(ひのと)の存在であったり
(夢見で神威の運命を指し示し、人類存続のため神威に助けを求める)
玖月牙暁を通じて(以下重要ネタバレ)
{netabare}・桃生小鳥(司狼神威の幼馴染で封真の妹:覚醒した封真に殺される)
・皇北都(昴流の双子の姉:「東京BABYLON」で星史郎に既に殺されている)
といったキャラが、夢見の世界で物語を紡ぐ等作品に彩を添えています。{/netabare}
・東京は地球の要?!結界石を廻る攻防
物語では「東京は地球を支える楔」として、数々の人為的な結界が張り巡
らされています。
・(皇居を中心に仏手の形に敷かれた絃状結界の山手線
・サンシャイン60、靖国神社、レインボーブリッジ、東京タワー等
これらの人工建造物は「結界石」と呼ばれ、全てが破壊されれば大規模な
災害が発生し、文明が破壊され人類が滅ぶとされており、
・この結界石を守るのが「天の龍」の役目であり
・逆に破壊するのが「地の龍」の目的
となっており、この結界石の攻防を廻って、両陣営の激しい攻防が繰り広
げられます。
・しっかりした人物描写に恋愛模様、果てはBL要素まで
2クールなので登場人物の掘り下げはかなりしっかりやってくれます。
それに意外にも恋愛要素が多く、それも結構面白いです。
そして「神威×封真」や「東京BABYLON」から続く「昴流×星史郎」のBL
要素までwww(それほど強い描写はないけどね)
2000年辺りの少し古いキャラデザではありますが、当時のCLAMPらしさが
発揮されており美少年・美少女ぶりが映えるって感じですね。
(「コードギアス 反逆のルルーシュ」のキャラデザ原案もCLAMPが手掛
けいるのですが、それをよりキリっとシャープにした感じですかね。
作品全体としても終末の戦いを連想させるためか、暗めのトーンながら
も結構はっきり目の強い感じですし。)
四六時中バトルしてるわけではないので、むしろ3:7位でヒューマンド
ラマの割合の方が高いって感じですね。
(大体「2人の神威」誕生が12話と結構遅めなんだよなw)
上述の通り本作はいまだ原作が完結しておらず、途中からはアニオリ展開と
なりますが、きちんと結末まで描いてくれているのは高評価。
(休載理由として、阪神淡路大震災や神戸連続児童殺傷事件やその他の猟奇
的な事件が起こったことでオチが難しくなったと述べている)
それでも2021年3月時点で累計発行部数は1200万部を記録するなど、原作は
かなりの人気作であります。
単純な異能力バトルだけでなく、良くも悪くも人間模様も細かく描写されて
おりその辺りが複雑に見えたり、2人の神威やら夢見や神剣のくだりなどい
ろいろ話を盛ってくるので、初見ではちょっと理解し難い部分が多いかも。
それでも作画のレベルも高く、物語もしっかり作り込まれているので、今の
量産型の異能力モノに食傷気味の方には、結構新鮮に映るのでは。
(ここまで手が込んだ重いダークファンタジーって今の流行じゃないしね)
20年以上前の作品ながらも普遍的な面白さがあるのは、さすがCLAMPといった
ところ。
それに毎回最後にかかる劇中音楽も、荘厳な感じで締めてくれるので高評価。
(追 記)
この辺りだと本作と「東京BABYLON」の原作は既読ですが、かなり前だったの
で、原作がどこまでだったとかは全然覚えてねえw
あと「東京BABYLON」は「東京BABYLON 2021」としてのアニメ化プロジェクト
が、まさかの盗作騒動で中止になるとはwww
(でも調べてみると、原作への敬意を感じないキャラデザとか、大コケしてた
可能性も高そうなんだよな)