waon.n さんの感想・評価
3.9
物語 : 3.0
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
きれいな絵できれいな物語
【First】
まず、背景が美しい。
次に、撮影が素晴らしい。
こんなきれいな世界だったら映画館で見たかったなというのが、正直後悔する点だなと思う。
ストーリー自体はちゃんとしているので、テンポよく見る事ができる。
とはいえ『君の名は』の影響がなかったと言ったらうそになるんじゃなかろうかという二番煎じ感は否めない。
「自分の才能があると理屈抜きに思い込めるのが若者の特権だ」って話をしていた偉人がいたかと思うけれど、2022年の高校生は自分が自分の物語の主人公っていう感覚が無く、理想や夢よりも現実をみせられてしまっているのだろうか。
この映画が若者たちにぶっ刺さっているのだとしたらそうなのかもしれないけれど、大人の感覚を子供のキャラクターに乗せてしまったのかもしれない。
もしくは、ヒロインのあんずさんの親のようにそんな夢なんか見ても上手くいきっこないという親世代の問題を取り上げたかったのか。
問題提起としては、クズ親がどう子供に影響を与えていくのか…っていうところかとも思うのだけれど、主人公もヒロインも現代にひとつの未練もなく1000年後に行けてしまうほどに、歪んでしまっている。
こういった描き方は、それ故どうなっていくのか、もしくはどうなったのか、を提示して終わりにしてもらいたいな。
というのが正直な感想。
また、毒親という言葉が割と世間に浸透している。
これらの問題を取り上げるのであれば、やはりもう少し描写があっても良かったのかもしれない。どこまで、彼らが思いつめているのかという点が演出的に弱かったように思える。もちろん導線はしっかりあった。
恋愛要素を入れる事が正解だったのかは正直分からない。
ただの協力関係でお互いの親の問題点を共感しあって傷をなめ合いながら解決していったけど、どうにもならなくて…。
まぁ恋愛要素を入れる事で感情の起伏を作る事には成功しているので、制限時間内でと考えると仕方ないのかなと。
とはいえ、やっぱり恋愛を入れた時点で『君の名は』になっていく感はどうしても否めない。
ちなみに、これを書いている時は絶賛『葬送のフリーレン』が放送中ですが、こちらの方がアニメーションは好きです。
背景と撮影は『夏への~』さんの方が美しいかなと個人的には思っております。
【あとに】
ハインライの『夏への扉』をオマージュしているのかな。
題材が【時間】なのであながち間違えてはないかもしれない。
ハインラインはまだ『宇宙の戦士』しか読んだことは無いのだけれど『月は無慈悲な夜の女王』と並ぶくらいに有名な一作なので、読んでみたいなと思ってはいる。そういえば、邦画だかもやっていたような…?
『宇宙の戦士』はポリティカルな作風だったので『夏への扉』も勝手にそういうイメージなのだけれど、どうなんだろう。
外からのメールが本当は届かないって設定はなくても良いんじゃないかと思ってしまった。愛の力というご都合主義的な展開に見えてしまって仕方がない。簡単に破る縛りならない方が気持ちいいんだよなぁ。
まぁ細かい事を気にせず美しい画面をご堪能下さいと言って終わりとします。
では、よしなに。