薄雪草 さんの感想・評価
4.1
物語 : 4.5
作画 : 4.0
声優 : 4.5
音楽 : 3.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
そういう世界観設定だったのかとすっきりしました。
封切2日めの夕方に鑑賞しました。
お客さんはよくて3割くらいの入りで、人気薄!って感じでした。
TV版は小粒な印象でしたが、それを上書きするアイディアはたっぷり盛り込まれてあったと思います。
ただし、TV版と違って {netabare} 水着回 {/netabare} はありません。
至極真っ当な、正統派ファンタジー作品です。
~
弐瓶勉氏の原作作品。 実は初見になります。
今回、弐瓶氏は「ファンタジーを描こう」ってことで、その世界観はしっかりと構築されていたように感じました。
劇場で観たのは、やっぱり正解でした。
スケール感はモニターサイズをはるかに凌ぎますし、キャラの演技はさらに微細で、天衣無縫そのものでした。
そして物語は・・・、これは "観た方だけのお楽しみ" ということにしておきます。
あとあと、ひと言だけ。
あの "天膜" のヒミツが、終幕間際になって明かされます。
「え? そうなの?・・そういうことだったの!」と、その大仕掛けにしばらくのあいだ思考が停止してしまいました。
SF的な雰囲気を醸しながらも、しっかりとファンタジー色がちりばめられていたなと感に入りました。
~
私のお気に入りは、冒頭の映像表現です。
復習のつもりでTV版を観返しておいたのですが、どちらかというと未消化なままの印象が残っています。
それを、のっけから、するどくエッジを打ち込むが如くの映像美術です。
何やら不穏な空気感を打ち出し、やおらに緊張感をブーストする出だしです。
期待値を否応なしにアゲまくる演出。
私はみるみるうちに引き込まれてしまいました。
~
それにつけても、なにぶんとプンプンするほどにファンタジーしてますので、すべてが理詰めというわけにはいきません。
「うんうん大丈夫。丸のみしちゃうから平気!」って心がまえも必要です。
もちろん、あの作品に似てるとか、説明が足りないっていうのは無粋というもの。
心を広く持って受け止めてくださいね。
滅びかけている世界を、再生へと向かわせる少年と少女の視点。
つまるところ、ボーイミーツガールは "間違いなし" です。
というわけで、カイナ役の細谷佳正氏、リリハ役の高橋李依氏は、この世界観になくてはならない存在感を演じきる難しさがあったのではないかなぁとの思いを馳せました。
~
TV版の評価は今ひとつでしたが、私は最初から観ると決めていましたので、見届けられたことは十分に満足しています。
ポリゴン・ピクチュアズの3DCG技術は、かなりリアル寄りで好印象。
人物のアクションも、無難にまとまっていて、的を得ていたように感じました。
ただ、デフォルメの面白さという観点では、いささかスポイルされるように見えてしまうのは仕方がありません。
分厚い防寒着だったり、鎧だったりは、もう一つ見栄え性に "華が足りない" ようには感じました。
その分、ストーリーの設定に、そのまま没入することをお勧めします。
とどのつまり、"世界観の余白" を自分なりに咀嚼・解釈すること。
それが弐瓶氏の狙いをキャッチする "確かなキーワード" のように感じました。