ふりーだむ さんの感想・評価
3.0
物語 : 3.0
作画 : 3.0
声優 : 3.0
音楽 : 3.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
ベネツィアガラスに映る美しき娘の、激しい憎悪と愛の物語
美しき骨董品のベネツィアガラス製のグラスに映る娘。骨董品店「香蘭堂」のアルバイト店員、永莉は他の人間には見えない、その娘に心を奪われ、日々ひっそりとそのグラスに映る娘を眺めていた。ある日、店内からグラスの娘の肖像画が見つかる。その娘の名は「コゼット・ドーヴェルニュ」。数日後、突如としてグラスの少女、コゼットが永莉の目の前に現れる。そして血の契約が交わされ、「永莉がコゼットを刺す」そのビジョンとともに、その過去が語られる。
時間が空いたので、短い作品を見ようと思い、全3話のこの作品を鑑賞しました。
監督やら制作会社に疎い私は、新房昭之監督の事は全く知りません、音楽の梶浦由記さんはNOIRやMADLAXで多少知っていたので、作品中の音楽に関しては聞きなれた感があったので、個人的には良かったです。
グラスに映る少女・コゼットに激しい恋心を抱いてしまった永莉。しかしコゼットは肖像画を描いたマルチェロにより殺されていた。その憎悪が器物に乗り移り、復讐の時を待っていた。そしてその時が訪れる。マルチェロの魂を引き継ぐもの永莉が現れたことにより。。。
「あてもなく探し求めた、250年もの間、私の姿が見える人を、血の契約を交わしてくれる人を、呪われし器物たちの魂を救ってくれる人を、あの男の魂は悪意に満ちている、剣のような彼らの呪いに身を貫かれながら、それを喰らい、飲み込む、魔物と化した、汚れ果てたおぞましい魔物。」
「逃げてはいけない、どんなに苦しくても、私はあの男に殺された、器物たちの魂が激しく男を憎み、その激しさ故に今もなお、罪なき人々にまで厄罪をもたらす。そして男が蘇った時、彼らは姿を現し、男を取殺そうとする。」
「呪われし器物たちの魂を救うためには、汚らわしきあの男を蘇らせなければならなかった。あなたには罪を償う義務があるわ。私を愛し、その血を飲み、殺人者の魂と宿命を引き継いだあなたには。」
少々グロめな演出、画がきれいなだけに凄惨さ残酷さが凄かった。3話と短い作品なのでコゼットの思いの移り変わりもテンポよく描かれていたと思います。果てしなき苦痛を与えられながらもコゼットを想い続ける永莉の姿、心も良かったですね。
クライマックスでの自らの血で肖像画を描く永莉の姿が印象的でした。そしてコゼットの安らかな表情も。
現実世界での永莉の周りの人々もそれぞれの個性、役回りがしっかりしていて、内容を把握しやすかったと思います。
分類的にはミステリーなのでしょうか?ホラーなのでしょうか?恋愛(純愛?)モノなのでしょうか?素人の私には判りかねますが、面白い作品でした。
新房昭之監督の作品の特徴ということなのでしょうか、うまく言い表せませんが、独特な演出や綺麗な画で見やすい作品だったと思います。新房監督の他の作品も見てみたくなりました。