ナノトリノ さんの感想・評価
4.2
物語 : 4.0
作画 : 5.0
声優 : 3.0
音楽 : 4.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
かわいい女の子がヒドイ目にあいます
原作漫画既読。
今となっては記憶が定かではないのですが、最初に原作を知ったのは新聞あるいは雑誌の書評欄だったように覚えています。
かわいらしい女の子の絵が添えられたソレは書評欄で異彩を放っていました。一種の異物といってもいい。興味が出たのでマンガを手にしました。
ショックでした。
かわいい女の子がヒドイ目にあう、そういった漫画はたびたび描かれてはいたのでしょうが自分にとってはそれが初体験だったのです。
後にOVA化されていると知り見てみた本作もまた期待以上の出来栄えでした。
両方とも好きです。
特に好きな点としてデザインを挙げたい。
エイリアン対策係の三人は小学六年の女の子。防護服という名の体操着を身にまとい、スパッツ+ローラーブレード+プロテクターで装備を固めます。幼く不安定ながらも身長伸び盛りで手足が長く薄いカラダを余すことなく表現するソレは少女がこの物語の重心のひとつであることを示します。カワイイ
対するエイリアンは少女たちと同じ世界なのかと疑うほど異様で異質。「敵」ではなく対策対象なので不殺が基本で麻酔捕獲を旨としますが、しょっちゅうしくじったり暴走したりの挙句、バラバラになったり汁まみれになったりで飛び散ります。キモイ
少女たちは安全のため共生型エイリアンの「ボウグ」をヘルメットのように身につけます。毒を以て毒を制す。ちょっとカエルっぽくて可愛くて天使のような羽根が生えていて羽根の先端からは触手のように無数の金属的ドリルが自在に伸びます。その刺突力はエイリアンだろうが床だろうがコンクリだろうがサクサクぷすぷす貫きます。強い。数十のドリルを周囲の地面に突き立て防御陣を張ればどんな攻撃も通しません。羽根を丸く「ばはっ」と広げるさまは光輪のよう。カッコイイ
OVAは全4巻で、原作漫画全3巻の約半分と言った所までで終わっています。
個人的にはリメイクや続編は望みません。
物語はこの先世界の謎が少しづつ明かされ、続編漫画も含め「共生」の意味合いも少しずつ変わっていきますが、どこまでいってもラスボス倒して万事解決!といった風にはならず、OVA化された所までの不気味で絶望感まみれの理不尽さは充分味わえると考えます。
映像的な部分は今見てもすごい。エイリアンをはじめとしたこの世に在りもしないものを面白おかしく生々しく描きます。かと思えば第3巻の夏休み回などは束の間の平穏(と逃れられない不穏と)をこれでもかと鮮やかに映し出しています。
主人公・ゆりの声優さんも、初見時には何とも頼りない演技と思ったものですが、終わってみればこの人しかいないという好演に感じます。
この古い作品を思い出したのは2022年の「ヒーラー・ガール」の監督に覚えのあるお名前を見たからでした(あれも唯一無二で丁寧なアニメでした)。
久し振りに観たけれど面白かった!…と言うのとはちょっと違うか。
大好きです!な作品。くみちゃん推しです。