タック二階堂 さんの感想・評価

4.0
物語 : 4.5 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 3.5 キャラ : 4.0 状態：観終わった

ゆずきけ。

詳細は公式でも。

小学館『ベツコミ』連載中の藤沢志月さんによる少女コミックのアニメ化作品。制作は「91Days」、ブレインズ・ベースから引き継いで伍から制作を担当している「夏目友人帳」、「宝石商リチャード氏の謎鑑定」などの朱夏です。

作品ラインナップを見る限り、手堅く制作をする会社という印象です。そのへんはブレインズ・ベースから独立しただけあって、なんとなく雰囲気は似ている感じですね。ただまあ、「リチャード氏」は失敗だったかなという印象。

で、一部では「みなみけ」のウィーアーオールメンver.と呼ばれている本作。確かに、家族の構成的に一番上のお兄ちゃんを除けば、なんとなくわからなくもないです。お調子者の三男という立ち位置も、なんとなくね。

ただ、本作はコメディというよりホームドラマといった感じ。ちょっとだけ寂しげな雰囲気を漂わせるあたり、シリアスとも違った古き良き昭和の家族ドラマ的な趣がありますね。

うん、悪くないと思いますよ。多士済々の今期では、いかにも地味な作風で目立ちはしませんが、じんわりと楽しめる作品になればいいですね。

=====第2話視聴後、追記です。
{netabare}
回想の使い方が上手いなぁ。ちょっとは見習え、手塚。

なんというか、構成が実に巧みなんですよね。初回は三男・湊メインでサブに岳を絡ませたキャラ紹介。今回は次男の尊メインに長男の隼と母親がどんな人だったのかというキャラ紹介。こうやって、各キャラをストーリーを見せつつ深掘りしていくのが見事だなと。

また、演出もいいですね。尊の心のモヤモヤを、手書きのチョークみたいな描き方で見せる手法。「夏目友人帳」でも、こんな見せ方してたなというのを思い出しますね。ま、最近ではよく見る手法ではあるのですが。や、最近じゃないな。「エヴァ」が元祖かなこれは。

サムネや原作が少女漫画ということで、「ああ、ウィーアーオールメンね」と敬遠しそうになりましたが、これは良い作品だなと思います。継続視聴ですね。
{/netabare}
=====第8話視聴後、追記です。
{netabare}
派手に宣伝を打つわけでもなく、キャストも……えっと、ごめんなさい。僕が知らないだけかもしれませんが、M・A・Oさんと立木文彦さん以外は、ほぼ聞いたことのない声優さん（松岡美里さんは「映像研」で知ってましたけど）。ど派手な戦略で覇を競っている「葬送のフリーレン」「薬屋のひとりごと」とは比べ物にならない地味な作品です。

でも、これがまた話の良さとストーリー構成の巧さで、かなりのダークホースとなっていますね。

『ベツコミ』という、いわゆる少女漫画雑誌連載中の作品であり、キャラの構成もウィーアーオールメンなので、大多数の深夜アニメ層からは完全スルーされている作品。ですが、掛け値なしに面白いです。

今期で言えば、確かに作画とか総合力でいえば「フリーレン」「薬屋」が高得点なのはしかたないのですが、個人的にはこの作品のほうが好きです。

面白いもんで、話題性と実際に面白くて好きな作品というのは別なんですね。この作品と、まったく対局に位置する「16bitセンセーション」が今期では覇権2作を食う勢いです（個人的には）。
{/netabare}
=====最終話視聴後、感想です。
{netabare}
最終話だけみると、なんか総集編のような、ウチの家族は両親がいないけど兄弟一丸で楽しく暮らしていくんだよという自分語りみたいな内容で、もう少し何かなかったのかなという気はしますが、1クール全体で見れば良かったと思います。

派手な宣伝戦略があったわけでもなく、キャストや主題歌に有名な人を起用したわけでもありません。だから、まったく話題にもトレンドにもならなかった本作ですが、地味に良作だったと思います。

こういうのをダークホースと呼ぶのでしょう。

細かく見ていくと、問題がなくはないのですが（展開の起伏が乏しく、盛り上がり所や落とし所が少ない）、観終わった後に温かくなるような作品でした。

続編が期待できるような作品ではありませんが、こういうのが評価されるようになればいいなあと思います。
{/netabare}