7でもない さんの感想・評価
3.0
物語 : 3.0
作画 : 3.0
声優 : 3.0
音楽 : 3.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
ホラーを再発見
ホラーというジャンル自体は映画や漫画でぱらぱら嗜む程度で大好きという程ではなかったけど、なんとなく伊藤順二コレクションに手を出してみてその予想外の結果に正直驚いた。中にはこれは何が描きたいんだ?って意味不明なエピソードや凡庸な話も少なからずあったけど、一部の作品は素敵な悪夢の世界に引き込んでくれた。
時折不自然な要素や矛盾が設定に見受けられるけど、それらを進んで受け入れる意志を求められるようだ。まるで、シャーマンが精霊と交信するかのように自分から物語にアプローチしなければ、ホラーの真髄に触れることは難しいらしい。このアニメから得た教訓はホラーアニメを楽しむためには受動的ではなく、積極的に物語に没頭する姿勢が必要であるって事だ。
ホラージャンルは一般的に男性よりも女性に好まれると言われているけど、この作品を通じてやっと納得がいった気がする。深く物語に没頭する人々にこそホラーが刺さるようだ。稀に作品とばっちりチャンネルが合うと創作物とはわかっていても瞬間的に普段文明に隠されていて気づかない、人類や現代文明・科学を遙かに超越した邪悪な存在の片鱗に触れた絶望のようなざらざらした不思議な気分に包まれる。精神的に余裕のある時感じるそれは鼻を抜けるワサビのように強烈な経験だ。
しかしながらこのアニメやジャンルそのものにはいくつかの課題が存在している。それらを説明するために、まずこのホラーアニメをいくつかのカテゴリーに分けてみよう。
・異形の怪物や死にまつわる恐怖
・ストレスによる精神の崩壊と世界の破綻
・ギャグ回
・意味不明で不可解なエピソード
・そしてショッキングなビジュアルで怖気立つエピソード
など多彩な要素が伊藤潤二氏によって提供されている。特に最後のカテゴリーは、集合恐怖症に悩む人々には向いていないかもしれない。恐怖心が強い人や自分の限界を知っている人は速やかに途中で視聴を中断するか、苦手なシーンをスキップすることを検討すべきだし、自分の限界が分からない人は極論最初から見ない方がいいかもしれない。正直ゲームやアニメでこのような感情が呼び起されたのは久々なので、普段いかに保護されてるか気づかされた。
アニメはゾーニングや規制で守られていると言う事は漫画と比較して許容される表現の余地が若干狭く、当然漫画では表現可能なエロス要素・グロテスクな表現・不快なシーンはアニメやテレビでは同様に表現することが難しい事になるだろうな。
また、アニメやテレビは情報量が過多で画面が綺麗なため、怖さや没入感が薄れる可能性があるという点も挙げられる。美麗な映像は一見すると魅力的だけど、恐怖の要素や緊張感を伝えるのが難しいかもしれない。情報の過多は視聴者の感覚を飽和させてより客観的な立場に立たせ、恐怖を薄めてしまうことがある。
これらの問題の反対側に立つのが漫画だ。漫画は紙の上のペンの白黒の世界が全てであり、読者はその中に自分の意識を全力で投入する。この際、表現の限界があるため、物語の中の矛盾や現実離れした要素・細部への拘束から解放され恐怖を感じやすくなる。表現に限界があるからこそ読者はそれを乗り越え物語により深く没頭し恐怖を体験することができる。なんという矛盾。非常に面白い。これを教えてくれた本作には感謝したい。良い作品に出合えたと思う。他人に言われるのでなくこの作品によってはじめて真に分かった。
総括としてホラーの魅力を探求する中いくつかの洞察を再発見した。まず、ホラーは受動的ではなく自分から積極的に物語に飛び込む覚悟が必要だ。恐怖を楽しむためには安全圏を離れ、全身全霊で物語に身を投じなければならない。
そして一番重要なのが表現メディアム(媒体)として限界があることが、時に没入感を高め、矛盾を楽しむ要素として機能することがあるという点だ。この自己矛盾がホラーの世界での探求と鑑賞をより魅力的にしている。
最後に漫画というメディアにおいてグロテスクな要素・エロス表現・不快な要素が未だに存在しているが、規制が必要なのかどうかについては、熟慮と長い議論は避けられないだろう。表現がどこまで許容されるべきかについての論議は、アートの領域における同様の質問と同じくらい難問なのだから。
各エピソード感
1
双一
{netabare}
兄ちゃんやさしい
{/netabare}
2
Aファッションモデル
{netabare}
怖いファッションモデルが実は人喰い女だったというストレートな内容
{/netabare}
B長い夢
夢の中での時間がどんどん長くなっていく青年と死を恐れる少女
1週間、1か月、1年、10年少年は老衰で死に、
青年の病気を移植された少女は夢の中の永遠を生きる
よくこんな事考えられるな。
3
A四つ辻の美少年
{netabare}
美少年=美青年じゃないのか
{/netabare}
Bなめくじ女
{netabare}
絵面のインパクト一発もの
{/netabare}
4
A寒気
{netabare}
集合体恐怖症グロ 蓮コラ
穴が開く奇病。救い無し。
{/netabare}
5
A異次元の屋敷
{netabare}
理不尽?。いや普段どうやって異次元の屋敷で暮らしているんだよ。よくわからん所から始まり、投げられて終わる。
{/netabare}
B布人形
{netabare}
双一再登場。すまん、この話で作者は何を見せたいんだ?双一のケツ?
{/netabare}
7
A中古レコード
{netabare}
歌い手の死後にダブされた死の歌の入った中古レコードをめぐって殺し合い、奪い合い。
あーあ主人公(M・A・O)も死んじゃった。呪いの青ダイヤみたいな所有者を殺す呪いのレコード
奪い合いで死んだ人の魂に聞き手は引き込まれるという感じか
{/netabare}
B道のない街
道が無く、他人の家の中をずかずか通る街。そこにはプライバシーは存在しなかった
主人公は自分の部屋を覗いてくる家族の指を降り、目にドライバーを突き立て、逃げ出す
批難した先のおばさんの家では、プライバシーの侵害されまくった結果露出狂になった伯母さんがいた
8
Aコレクション
{netabare}
頭蓋骨が繋がって虫に
{/netabare}
10
Aグリセリド
集合体恐怖症グロ
油に塗れ終わり行く世界の中、一人、唯は、最終戦争後のテレビ放送のように、「油警報」をつぶやく。種田梨沙によって時には淡々とそして時には熱演される唯はまるで汚泥の中に沈みゆく一本の眩い白い花みたいな強烈な印象を与える。その対称性は自分の中には説明しがたい退廃的な矛盾した感情を呼び起こした。
B橋
{netabare}
死して川に還って行く村人。白昼夢から冷めた主人公は祖母ちゃんを看取る。死して川に還って合流する村人。
{/netabare}
11
A超自然転校生
{netabare}
普通主人公たちがどこか異常な所を訪ねて脱出するのがホラーの正当ストーリーだけど、これはその逆の超自然を自分と一緒に呼び込む転校生の話。途中で異能バトルになるのがくすっと笑える。
{/netabare}
12
A神のはちみつ
{netabare}
アクションゲームやARPG、MMORPGで、ボスの決めたルールを破ると罰として自動でこういう猛烈な攻撃してくる巨大ボスいるよね
{/netabare}
B噂
{netabare}
醜い化け物ババアファッションモデル再登場。
宗一完全にギャグキャラ。ユーアービューティホー....じゃねえよ!
{/netabare}
2023/07