take_0(ゼロ) さんの感想・評価
3.4
物語 : 3.0
作画 : 3.5
声優 : 3.5
音楽 : 3.5
キャラ : 3.5
状態:観終わった
設定を活かしきれていないところと作品の雰囲気がバーター。
なんともヘンテコリンなレビュータイトルで申し訳ないです。
あまり設定について語りすぎることはネタバレに通じるところがあると思いますので、何となくにしておきます。
この設定は、リアル目線では突飛なものになると思いますが、まぁ、フィクション作品の設定としてはアリではないかと受け止めています。
例えば・・・昭和な人にしかわからないかもしれませんが某マリアンさんが出演しておられた「俺はご先祖様!?」とかw、「うる星やつら」もまぁ、系統と言えるかもしれませんね。
また、設定を「掟」という方向で解釈していけば、過激な方向で行けば「ひぐらし」とか、もっとおどろおどろしい方向へも振れたかもしれません。
要約すると、もう少し起伏のある物語にしたり、エキセントリックにしたり、過激な方向へもっていったり、ドラマティックにしたり、ホラーな方向、ファンタジーな方向、より取り見取りっただろうになぁ、って事です。
ただ、この作品はそういった方向へはもっていかず、まるで「日本むかしばなし」的なレベルにとどめたままで、ささやかなラブコメ・・・、いや純愛路線かなぁ・・・で収めているのです。
なんと、おくゆかしいw。
ちょっと、冷やかしめいたことを書いてしまいました。
ただ、まぁ、個人的には、これはこれでアリなんじゃないかなぁ、と思っている訳で。あまり悪い印象は持っていないんですけれども。
基本的には、主人公:久我一郎とお相手:五色しおりを眺めていればそれでいいとは思います。
ただ、ここも、過剰に背中がくすぐったくなる様な演出が描き出されることもなく・・・、ちょっと、じれったいような、もどかしいようなやり取りもありつつ、二人の仲が進捗していくといったところです。
とは言えですが、やっぱり恋愛もの、そういったシーンが無いわけではなく、むしろ多いとさえ言えるのですが、ベクトルが萌え的な方向ではなく・・・。
う~ん、なんと表現すればいいのかなあ・・・。
正直と正直が真正面から相対して、素直と素直がぶつかりあい、真面目と真面目がお話し合いをするという・・・、そんな感じw。
かなぁ。
観ていて、こっぱずかしくなると言うか、微笑ましいと言うか、お子様のような真面目な恋愛を、真面目にしようとするとこうなるのかって感じw。
これは、五色しおりが世間知らずのお姫様キャラであり、久我一郎が軽く人間関係でトラウマ的なものも持っているということも影響しているのかもしれません。
特徴的な事と言えば「マンガ」がキーアイテムになってはいるのですが、これも設定としては、絶対に必要か?と言われるとそれほどでも・・・。
周囲のサポートキャラクタとの関係性、しおりのおばあさんとの繋がりにも成ってはいるのですが、それほど物語の中で重要なものとも言えません。
ああ、久我くんの職業でもありますね。
キャラクタの個性を描くアイテムとしては、まぁ、効いているとは思いますが。
まぁ、でも、いろいろと書いてみましたが、レビュータイトルにあるように、設定を過剰に活かさなかったことで、このふんわりとした作品柄、少しフラットな淡々とした色恋模様になっているのではないか、という印象を持ったのです。
これが
「島の厳重な掟を破り、都会で羽を伸ばしているしおりにないが起こるのかぁ!!」
「しおりに迫る、島の掟の守護者たち!!一体、久我君はどう立ち向かうのか!!」
「そして、その島の掟に隠された真実とは!!」
「二人の運命は、いかに!!」
どどどーん!!
ってな事だったら、全くお話の色合いが変わってきますからね。
こういう言い方をするという事は、私自身は、この作品の今持っている雰囲気を「是」と受け止めている訳で、これはこれでキライじゃない、という事なのですw。
スミマセン、この作品の雰囲気はキライじゃないというだけで、大きな遠回りをしてしまいました。
まぁ、ぶっちゃけ、最後の最後まで進んで、島の方からしおりの父母、特にちょっと厳しい感じのするお母君が来てさえ、特にこの作品内では大きな事柄は起こらず、淡々と主人公たち2人の恋模様が描かれて終わるという終わり方になっているのですが・・・。
それでも、この雰囲気をつくれているのは、まぁ、ありなんじゃないかと。
もし、次の機会があるとすれば、設定をガンガン活かして、全く別ベクトルの作品になっているかもしれませんが、まぁ、そんなことは無いかな。
それにしても、久我君の妹や弟君をはじめ、周囲の皆さんはいい人ばかり。
恵まれていて羨ましいな、って思いました。
なんか、OP/EDとか、作品自体から受ける印象で「君にとどけ」が浮かんだけど、主人公のしおりの素直なところが爽子と被ったのかなw
蛇足でした。
たしかに、物足りない、起伏が無い、何も起こらない、と言った印象を持つことは否定できないと思いますが、独特の涼やかでのんびりとした雰囲気をもつ作品だと思います。
機会がありましたら、ゆったりとした心持ちでご覧いただければ、と思います。