薄雪草 さんの感想・評価
4.2
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
お召し上がりください・・・!?
何度も死線を乗りこえ、助け合い、励まし合ってきたルーデウスとエリス。
家族との再会、家督の再興という少年期の願いは終わりを迎え、そして二人は愛を確かめ合って・・・。
と、その翌日に、ルーデウスはエリスから遠のけられる。
青年期のルーデウスの立志立命は、この心情から始まる。
EDという過酷な難問を抱えこんだまま。
~
とまぁ、笑うに笑えないスタートを切ったルーデウスです。
奪われたのはエリスの処女性ではなく、ルーデウスの男性性であったとは、皮肉を通り越して、ひき肉、干し肉のような仕打ち。
ルーデウスの中身(精神性)は、童貞を卒業したばかりの青年なので、キモチもカラダも萎えきってしまうのは理解はできます。
もしも、逆設定のシナリオだったらと思うと、世の女性はきっと発狂することでしょう。
エリスの覚悟と胆力は、相当のものです。
とは言っても、失われたリビドーを回復させる魔法は師匠ロキシーの専門外。
チェリーボーイが乗り越えねばならないのは、魔法で? それとも肉体改造で? あるいは媚薬に頼って? というカオスな世界線です。
そこに降って湧いたのがシルフィーという天の恵み。
タイトルどおりの強烈すぎる "ローブロー" です。
~
シルフィーがルーデウスを好いているのは間違いありませんから、ルーデウスがシルフィーにどう向き合うのかが焦点でした。
冒険譚で結ばれたエリスとは違い、学園という癒しに結ばれる設定は、ややもすると、ぬるいなろう系の既視感も感じられますが、ポイントはそこではなく。
ヒトガミが授けたアドバイスの内実を思うと、ルーデウスと中の青年とのフィッティングこそが、今回のテーマだと思います。
つまり、生前の青年が完全拒絶してきた家族像。
それは、裏返せば、転生したルーデウスが求めてやまない家族像です。
乖離したそれぞれの家族像を、分かちがたく結びつけるためのストーリーライン。
それは、ルーデウスと中の青年が、理想とする家族像を一つのものに固めるためと言えるのではないでしょうか。
二人が結ばれるだろうことは初回に気づきましたし、シルフィーがフィッツを名乗るいきさつと、ふたりがアスラ王国に関わる今後の展開を思えば、ルーデウスがシルフィーに結婚を申し込んだのは、わたしは安堵できましたし、必然ではなかろうかと感じています。
~
それにしても、今回のスローテンポは、いい意味で "贅沢な作り" になっています。
心やすい幼なじみとのもどかしい親交。
それぞれの傷心をリカバリーしあう肌の温もり。
1期の雰囲気とは全然違いますが、今回のような穏やかなフェーズもなかなかの味わいです。
ところで、作画の劣化のご指摘が散見されますが、このレベルのままでも何とかクオリティーは保てるように感じます。
でも、今後のアニメ史にその名を残す作品になってほしいですし、望めるのなら1期のようなこだわりで創っていただきたいのが本音です。
応援しています。