てとてと さんの感想・評価
3.9
物語 : 3.5
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
タイトルに反しビターな少女漫画寄り奮闘記&ラブロマンス?ちゃんとしたファンタジーで名作劇場的
ライトノベル原作のハイファンタジー全24話。
人間が妖精を差別使役し、銀砂糖菓子職人が重んじられる世界観で、銀砂糖師を志すヒロインが、イケメン妖精とのロマンスや、様々な困難を乗り越えていく。
【良い点】
(良くも悪くも)なろう系テンプレではない、ちゃんとしたハイファンタジー世界観で近年のアニメでは珍しい。
人間と妖精のシビアな隷属関係や、銀砂糖菓子や銀砂糖師という独自設定がしっかり息づいている。
タイトルの「フェアリーテイル」に偽り無し。
綺麗な絵柄、メルヘンな妖精や砂糖菓子に反し、ドラマはサクセスストーリーとしてもラブロマンスとしてもシビア。
銀砂糖師を志すアンは、ロマンス面では人間と妖精の確執、女性が職業志すドラマとしては様々な障壁に葛藤する。
中世の職人男性社会で女性が…ルネサンス時代舞台の「アルテ」と似た作劇だけど、アルテよりもかなり厳しい。
それでもアンの、妖精も分け隔てなく接する裏表の無い善意、ひたむきに職人に邁進する一途さが、次第に信頼勝ち取り道を拓いていく。
後半、工房長任せられる展開でも、職人としての矜持や信念で力強く引っ張っていく、主人公の資質十分。
地味だが丁寧なストーリーで2クール通して少しずつ良くなっていく。
(本サイトの評価も1期より2期が高い)
名作劇場的な良さかある。(徳寿丸氏の指摘通り)
前半は卑劣な妨害行為してくるジョナス、中盤は職人一家の女子としての抑圧と愛に飢えたヤンデレのブリジット、終盤は憎しみに囚われた妖精ラファルなど、分かり易い悪役配置して波乱起こしつつ、アンが健気にがんばる流れで安定感ある。
要所で悪意に晒されるものの、通して見ると綺麗な作風で、往年の名作劇場的な陰湿さは控え目な点は良い。
ジョナスもブリジットもちゃんと綺麗になる、それもアンの純粋な善意が人望となる構図なので逆ハーレム感の嫌味少な目。
妖精と人間のドラマも、幻想的で儚いストーリー多くて良かった。
ショタ妖精ノアと、滅ぼされた優しい領主の話はかなり泣かせる。
アン・ハルフォードがかなり可愛い。
何となく花とゆめヒロインぽい可愛さ。
回が進む程にシャルへの切ない想い募らせていく、かわいい。
主題歌含めて楽曲が雰囲気と主題に合っている良曲。
曲調も優しく、何となく名作劇場ぽい。
作画はやや地味だが申し分なく美男美女。アンは一見地味だけど、シャルへの想い募らせる感情描写はかなり良かった。
また銀砂糖細工の描写もかなり綺麗。
【悪い点】
波乱は多いが、とってつけたような悪意や困難が多く、悪い意味でも古典的な名作劇場的。
この点は名作劇場を見慣れていれば別に欠点ではないが、令和の現在こういう古いタイプの作劇はちょっと辛い。
予定調和で地味。尺不足な割にスローテンポ。
名作劇場に比べて尺が短いためか、解決が駆け足気味なのも、底の浅さが目立つ。
一部主要キャラ除いてキャラ描写がテンプレ気味。
ジョナスやブリジットと和解していく過程の描写が物足りなかったり、キャラの多さに交流が追い付いていない。
良キャラが多い割に地味に感じた。
悪い点ではなく本作の持ち味と見るべきだけど、作風が苦いので見ていて楽しいアニメではない。
同時期の菓子職人転生といい、何故かお菓子アニメは甘くない…
ラブロマンスと職人サクセス、どちらも良いものの、どちらにも忙しくて没入する暇があまり無かった。
どちらもいい線いってはいるが、どうにも地味で中途半端。
(物語4点かかなり迷う辺りの3.5点)
【総合評価】6~7点
近年貴重なファンタジーで地味な良作。
良作だけど面白かった!には色々と物足りない感じ。
良くも悪くも近年の主流からは古いタイプの作品、自分は好き。
評価は「良い」以上は確定だけど、とても良いかは迷う。
【余談】ジョナスが悪いんだよ
前半視聴者からのヘイト買いまくったジョナス、退場後もシャミ子ばりに悪い言われ続ける…
クズだけど視聴者から謎の人気あり?改心して株が上がった今後も悪いんだよ言われ続けそう。