てとてと さんの感想・評価
4.1
物語 : 4.5
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
10代と30代の青春ストーリーでかなり良かった
「超平和バスターズ」によるアニメ映画3作目。
※作品データベース様より転載
【良い点】
「あの花」以来の、過去状態なキャラクターを活かした巧みなストーリー構成。
主人公・あおいの10代らしい焦燥感や情念と、30代組(あか姉、慎之介、そして正道も)の精一杯生きてきた姿のどちらも瑞々しく描かれている。
特に生霊状態?な「しんの」と、慎之介を対比させてあかねを揺さぶる構図は、非常に分かり易く両世代どちらの葛藤も見せてくれた。
あおいのキャラクター。
決して美少女ではないけれど、30代の姉や慎之介、そして本来は幼い自分に夢をくれたはずなのに同世代状態なしんのに対する感情のわだかまり方が素直、そこが可愛らしい。
とんがっているけど決して悪い印象は無い。
(キャラデザは同じマリー作品の「荒ぶる季節の乙女どもよ。」の和紗と似てる、和紗よりちょっとだけ可愛い)
あおいのキャラクターが素直で嫌味が無いのが、本作が感情ぶつかり合うドラマな割に陰鬱になってない要因。
サポート役な正嗣君と、あおいに塩対応されても寛大に接してくれた千佳の存在も大きい。
千佳ちゃんかなり良い子、それでいて優等生っぽさをあまり感じさせない絶妙なキャラだった。
完全な悪意のキャラが誰もいないのも(マリー作品なのに)作風が爽やかだった。
演歌歌手もウザいが良い人だし。
地方らしい負の部分も含めた秩父への愛情を感じる描写。
秩父の風景を切り取った作画が非常に良く、クライマックスであおいとしんのが飛ぶシーンは美しかった。
このシーンは唐突に見えるが、理屈抜きで今までわだかまっていた感情が爆発する印象的なシーンだった。
EDで後のハッピーエンドを見せてくれて後味が良い。
声優陣の起用が当たっている。有名声優も有名人でもなく、ちゃんと本作の為の良いキャスティングで好印象。
吉沢亮氏も吉岡里帆氏も、本職の声優に全くヒケを取ってない。
更に主演の若山詩音氏は出演作こそ少ないが決して素人ではなく、わだかまった感情が滲み出る素晴らしい演技だった。
(「ガンダムビルドダイバーズRe:RISE」にも出演されている模様)
【悪い点】
良い点で挙げた秩父の美しい風景描写だが、リアル過ぎてアニメーションから浮いている気がする。
リアルに近付ければアニメとして良いかは疑問、アニメはアニメらしい作画が良いと思う。
「あの花」や「ここさけ」のようなあざとく感情揺さぶられるタイプの話ではないため、凄く感動するポイントは少ない。
そういうタイプの話なので、悪い点というわけでもないかもだけど。
楽曲面で凄く良いという程ではない。
もっとも、そこがリアルでむしろ良い点かもしれないので悩ましい。
【総合評価】9~8点
素晴らしい青春アニメ映画だった。
リアル要素とファンタジー要素が絶妙な塩梅で楽しめる、完成度の高い良作。
評価は「とても良い」