てとてと さんの感想・評価
4.3
物語 : 4.5
作画 : 4.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
差別や憎しみの連鎖題材にしつつ優しいロマンス貫いた普遍性の高い良作。花とゆめに外れ無し
「花とゆめ」の少女漫画原作の全24話。異類婚姻譚のメルヘンファンタジー。
人間と魔族が敵対する世界観で、魔族の王の生贄に捧げられたヒロインが、種族の融和目指す優しい王の妃として、差別や憎しみの連鎖に立ち向かう。
【良い点】
メルヘンファンタジーと、人間と魔族の敵対関係という良い意味での王道お約束を下敷きに分かり易いキャラとストーリー。
これにラブロマンスも合わせて題材が普遍的。ヒロイン・サリフィと王の困難な立場と試練の連続がふたりの愛を育み、全編通してロマンチック。
一難去ってまた一難で終始飽きさせず、着々とラブロマンスと異なる者同士が偏見なく分かり合う大切さが描かれる。
意地悪く見るとありがちな題材や主人公無双だけど殆ど嫌味感じさせない、サリフィ中心にキャラが良く、その善意に説得力がある。
全編を通し、予想を裏切らず期待は更に裏切らなかった。予定調和なのに面白い、これぞ王道な良作。
人間社会から捨てられた少女サリフィの覚悟決まった優しい無双で、小気味良く種族対立の壁を破っていく、この流れも花とゆめ作品らしい。
サリフィは単に天然で優しいだけではない芯の強さ、王の隣で共に歩む強き名ヒロインだった。歴代の花とゆめ主人公と遜色ない。
全編通して非友好的なキャラを攻略する流れも分かり易い。
前半は人間敵視する宰相を分かり易く悪役に据えて、難題試練→サリフィの善意と活力で解決する流れを通して、上記設定やキャラの丁寧な掘り下げ、後半以降も困難の連続から着々と友好信頼を勝ち得、終盤波乱を逆転しての大団円という理想的な構成。
幸せな後日譚含めて非の打ちどころが無いハッピーエンドで後味最高だった。
かなりシビアな題材の割に作風が優しく心地良く見られる。徹頭徹尾、善意の物語。
目玉コンビ?や口の悪い鳥ベンヌとの掛け合いなどで雰囲気が明るいのも良い。
終盤まさかの大活躍なトカゲ娘アミト姫が一番可愛かった。
サリフィの精神的な強さと純粋な優しさに少しズレた天然ぷりから、悪役の宰相も早い段階で王への忠誠と友情掘り下げられ悪い奴じゃないと分かり、回が進む程に予想通りのツンデレに。
途中経過で敵対的なキャラたちとも悉く偏見の壁を破ったり、ラスボスも含めて邪悪なキャラがいなかった。
終盤明かされる王とラスベス双方が母から愛されていたのも優しい作風に拍車をかけた。
サリフィと王、ヨルムンガンドとアミト姫のラブコメだけでなく、王と宰相の友情も尊し。ロマンスと友情劇両方おいしい。
特に宰相の生真面目過ぎる故の屈折した忠誠は非常に萌えた。
作画は派手さは無いけれど好感持てる。サリフィのキャラデザかなり好み。
声優陣は花澤香菜氏の正統派の綺麗なヒロインはやはり良いなぁと。間違いなくサリフィの魅力引き出していた。
日野聡氏はアインズ様を彷彿とした。
主題歌も前後編共にロマンチックかつテーマに沿っている良曲。
【悪い点】
予定調和。波乱の連続に見えて波乱が少ないので地味。
とはいえそれをあまり欠点と感じさせない。
人間の幼馴染がNTRで少し可哀そう。最終的に成長するとはいえ。
ラントヴェルトがあまり活躍できていない。アミト姫の方が強かったような。
終盤謀反した奴の扱いが駆け足。サリフィの優しさで和解はしたものの、もう少し掘り下げて救済がほしかった。
【総合評価】8~9点
花とゆめに外れ無し。
地味だけど全編飽きさせず、愛や、偏見の打破という普遍のテーマを心地良く描き切った。
派手さは無いかもだけど、もっと評価されていい良作。親しみやすく普遍性があるので、後世振り返っても通用する作品。
評価は「とても良い」
【余談】
終盤反乱した奴の境遇で、キン肉マンスーパーフェニックスを連想する視聴者多々。
母親は薔薇王の葬列みたいな毒親か!?と思いきや、実は息子を愛しており、シズ子さんばりに良き母だった。
また自滅の仕方や境遇や歪んだ思想から、ふしぎの海のナディアのガーゴイルも。
…花とゆめの少女漫画から、昭和・平成初期の少年漫画ネタが飛び出すようなニコニコ動画はやはり好きだなぁと。