タック二階堂 さんの感想・評価
3.3
物語 : 4.0
作画 : 2.0
声優 : 4.5
音楽 : 3.5
キャラ : 2.5
状態:観終わった
諏訪部と早見。
詳細は公式でも。
なろう原作なのですが、かなり期待していた作品。制作は「彼女が公爵邸に行った理由」などの颱風グラフィックス。シリーズ構成は「蜘蛛ですが、なにか?」「惑星のさみだれ」の百瀬祐一郎氏です。
という懸念材料を挙げましたが、その懸念は見事に的中したようで…
本作はキャラの魅力が大きいという点が挙げられます。特に、父親のベルグリフ(CV:諏訪部順一さん)。みなしごのアンジェリン(CV:早見沙織さん)を引き取って、優しくも厳しく育て、そしてアンジェリンは王都で研鑽を積み、Sランク冒険者になります。
そして、本作は散りばめられた謎。ストーリーが進んでいくと、謎が紡がれて解けていくという。そういった巧みなストーリー構成が大きな魅力となっています。
と、期待値が非常に高かったわけですが、初回を視聴してガックリと肩を落としてしまいました。それは、作画。
いやあ、今期でも指折りの作画の酷さ…
なんでしょうね。颱風グラフィックスの限界なのか。それとも、なろう原作の予算の少なさなのか。あるいは、「どうせ、なろうだろ」と制作スタッフのモチベの低さなのか。
もちろん、作画の悪さなんてものはストーリーが面白ければ気にならなくなるもんですが、それにしてもね。初回の印象では、諏訪部さんと早見さんという達者な声優さんによる掛け合いの妙ぐらいしか見るべきところがない作品になってしまいました。初回からこれだもの。残念極まりないです。
=====第11話視聴後、追記です。
{netabare}
作画は相変わらず低レベルで安定といったところですが、ここまで観続けられたのはひとえにストーリーの面白さに尽きます。あ、もちろんベルグリフ役の諏訪部順一さん、アンジェ役の早見沙織さんの好演も要素のひとつではありますが。
なんていうんでしょうね。物語の出来もさることながら、登場キャラ同士の掛け合いというか、絡みが実に人間らしいというか。
今回で言えば、ギルマス宛に大公からアンジェ招集の手紙が届く。それを聞いて怒り狂うアンジェ。その説得に、白髪ひげの老人と戦士っぽい男が…。というシーン。ここの脚本が実にいいんですよね。ちゃんと話をしている。アンジェが招集に応じるのにも納得感があるんです。
こういう、しっかりとギアが噛み合った会話劇を描けるのがいい。凡百のなろうファンタジーは、これが出来てないからご都合展開に見えるんです。
ホントね。颱風グラフィックスでなくて、せめてJ.C.STAFFあたりが担当すれば、良作として注目が集まったんじゃないかと思える作品です。
{/netabare}
=====最終話視聴後、感想です。
{netabare}
いつもは、このレビュータイトルを完走後に書き換えるケースがほとんどなのですが、本作はやっぱり「諏訪部と早見」ママでいいかなと。
それだけ、やっぱりご両人の演技が光っていたからに他なりません。
諏訪部さんのベルグリフ、優しさの中に芯の強さを感じられる好演。そして、早見さんのアンジェは無邪気さと凛々しさが同居するSランク冒険者の娘を見事に演じてみせました。
ストーリーも、欲張らずに大きなエピソードを中心にあちこち手を出さず、父娘の愛情といったテーマを軸に人と人との触れ合いを描いた良作だったと思います。
惜しむらくは、作画が微妙だったところ。
なんていうんでしょうね。下手とも違うし、雑とも違う。低予算感というのがしっくりきましょうか。
もったいなかった佳作といった感じですね。
{/netabare}