てとてと さんの感想・評価
3.7
物語 : 3.5
作画 : 3.5
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
ホームズ二次創作としては中々良かった
シャーロック・ホームズ最大のライバル、モリアーティー教授を主人公にしたピカレスク系?全24話。
【良い点】
英国の腐った貴族階級社会(あくまで本作と主人公視点)を、モリアーティー一味が義賊として完全犯罪で成敗する勧善懲悪
で分かり易く進行しつつ、本命は彼らの魅力や関係性を展開していくキャラ萌え作品。キャラデザは十分イケメン。
階級闘争だの犯罪ミステリー辺りは本作の本命ではないのは、割と早い段階で分かる。
大英帝国を舞台とした物語としての雰囲気も良好。
二次創作の題材として大勢力なシャーロックホームズ、モリアーティー教授を、少年漫画(やや女性向け?)に再構築した
コンセプトが上手い。
謎多き犯罪紳士の背景を独自解釈で描く、幼少期に養父貴族を謀殺して貴族の実子である長兄を陰謀に引き込む件でインパクトは十分。
ホームズを筆頭に二次創作としてキャラ付けが上手く、軒並み魅力的。原作の強み、華のあるキャラ層の厚さを活かせている。
特に主人公ウィリアムと兄第一な弟ルイス、ホームズとワトソン、
そしてメインであるホームズとウィリアムといった複数軸のブロマンスありあざとい。
女性視聴者は勿論、自分のような男子視聴者にも見所が多かった。凄腕老執事のモランなど、モリアーティー一味の関係性がステキ。
回が進む程にモリアーティー一味に感情移入させてくれる。
女性陣もハドソン婦人が妙に可愛らしくて萌え。あすみすボイスがハマっていた。
特にアイリーン・アドラーは非常に良い女、モリアーティーとホームズ双方にとってのメインヒロインの風格十分だった。
ストーリー面ではボヘミアの醜聞を巧みに解釈してモリアーティー教授とも絡ませた展開は見事だった。
陰謀劇としてのスケールが大きく、かつホームズも含めて各キャラの魅力がちゃんと出せている。
終盤はやや急ではあるものの、シャーロキアンたちの解釈の中でも代表的な仮説(想像?妄想?)を採用、
全24話で綺麗に物語を締め括った。完成度は高い。
【悪い点】
個々の犯罪劇は陳腐。底の浅いテンプレなゲス貴族を成敗は王道だが陳腐、トリックや推理も今一つ。
頭脳戦の面白味は今一歩で、モリアーティーとホームズの対決がやや地味だった一因。
モリアーティー側はまだ良いが、ホームズの見せ場があまり無い。
ホームズの見せ場が足りないため、ウィリアムとのブロマンスもやや盛り上がりに欠いた。
モリアーティーたちの階級闘争に関してはあまり興味を持てず。
貴族側の描写がテンプレなのもイマイチ乗り切れない一因か。
ここは本作の本命ではないのは分かるが、キャラの見せ場に直結する要素ではあるので、ここが地味だったのは泣き所。
ウィリアムは魅力的ではあったが、終始底を見せず、結果、淡白な印象。
革命家としての情熱も、悪の美学も、中途半端だった。
後半〜終盤、結局は自己犠牲の聖人ぽいキャラクターであったが、悪のカリスマとしては微妙。
終盤のミルヴァートンとの対決が竜頭蛇尾で期待ハズレ。
ミルヴァートンの方が、実は正義なモリアーティーよりも悪のカリスマとして際立っていただけに惜しい。
【総合評価】6~7点
ホームズ二次創作の2クールアニメとしては良く出来ている。スマッシュヒットしているのも納得。
肝心のモリアーティーに関してなど物足りなさは否めないが、キャラ萌え作品として許容の範囲。
評価はとてもは付かないが「良い」