タック二階堂 さんの感想・評価
4.2
物語 : 3.5
作画 : 5.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
欲張ったり!岡田マリー!
詳細は公式サイトでも見てください。
監督・脚本:岡田マリー。制作:MAPPAという超強力布陣で制作された劇場版オリジナル作品です。
いちおう本レビュー全体にネタバレ隠しをしていますが、念のために以下も隠します。未見の方は開かぬように。
{netabare}
と言いつつ、本編をボカしながら語りますね。
さすがの岡田マリーでも、タイムパラドックスを描くと無理が生じるんだなというのが観覧後の印象。
えっと、製鉄所の爆発事故で町の住民全員が死んだんですかこれ?
そんな災害級の事故じゃなかったっすよね?
でだ。みんな死んだ廃墟の町が、まぼろしとなって時間が止まった世界になったという解釈で合ってるんでしょうか? そんな死者の世界に、生者である主人公の娘・五実が幼少期に神隠しで迷い込み、ある程度、大人になったところで主人公たちの○十年後の世界へと戻されると。
いやいや、主人公と睦実、死んでないじゃん。
これを、あるアニメYouTuberは「爆発事故のとき、現実世界からコピーされたまぼろしの世界」と言及しました。まあ、パラレルワールドという話にしないと成立しないわけですけども。
で、だ。
ま、要するに五実は両親(主人公と睦実)の待つ現実世界へと戻るからこそ、貨物列車でトンネルに突っ込む睦実との別れのシーンが、まったく涙も感動もないわけ。それどころか、なんで五実は帰りたがらないの?という感想まである。
まあ、それは五実が主人公に恋をしてしまったから、という解釈であり、それに気づいた睦実が帰らせるために「主人公が死ぬ瞬間に思い出すのは私であり、あなたじゃない。主人公もそうだ」という、残酷な岡田マリー節となるわけなんですが…
「君の名は。」のようなタイムパラドクス要素の起点が、すべて恋愛という岡田マリー脚本らしい面があり、しかも神事といった要素も含んだり、追ってから逃げるといったカーチェイスありと、ずいぶんとまあ岡田マリーは欲張りましたね。
でも、それがことごとく消化不良。
なんだろう。どうしてもテーストが新海誠に影響を受けていると言わざるを得ないんですよね。んで、岡田マリーさんがお好きな「幽霊」的な話。「あの花」も「ここさけ」もそうでしたもんね。
睦実の義理の親である神主、非常に浮いてました。もっと、なんというか「エヴァ」のゲンドウみたいなキャラにして、陰謀渦巻く感じにしたほうが良かった気がしますね。なんか、ギャグ要員なんだもん、あれでは。
主人公の叔父。序盤からずっと主人公の理解者であり、このまま主人公たちの計画を手助けするもんだと思ったら、主人公の母親に恋慕し、この世界を守るために神機狼を復活させるように動きます。キャラの方向性が変わりすぎでしょ。
とまあ、期待が大きかっただけにハードルを超えるどころか、下をくぐってしまったという評価です。それもこれも、岡田マリーがやりたいことが強すぎて、詰め込みすぎた感じを受けました。そのくせ、なんだろう、脚本家としての顕示欲がでたのか、見せ場のシーンが冗長。何度か、眠くなるほど長々とまあ、やってんなぁというシーンがありましたね。キスシーンとかね。
{/netabare}
MAPPAの作画は素晴らしいの一言。ぶっちゃけ、新海作品と遜色ないレベルでした。駄作とまでは言いませんが、決して名作とは言えないかなぁ…