カール さんの感想・評価

4.4
物語 : 4.0 作画 : 4.5 声優 : 5.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.5 状態：観終わった

頑張れシャミ子！ 2期で失速するのはアニメあるあるだ

原作未読。

1期で成功しすぎると、
2期への期待が大きすぎる分、
評価が厳しくなりがち。
本作品はまさにその代表格。

個人的見解でありますが、
そのハードルは見事に飛び越え、
3期も期待できる内容だと思えます。

さて、内容についてですが、
どうにも気になるのが、
作品の奥底に漂っている不穏な空気。

かわいらしい映像に反して、
シリアスや鬱展開にシフトしそうで、
頭空っぽにして視聴できる萌えアニメとは、
一線を画しております。

1期でもその兆候は仄かにありましたが、
2期においては更に鮮明になっていく。

例えば、魔法少女のミカン。
彼女は感情の起伏によって、
周囲の人々にさまざまな呪いを降り注ぐ。

1期ではギャグ設定の一つとして、
面白おかしく描かれていましたが、
2期ではその過去や本人の心情が
詳細に語られる。

それは決して、
腹を抱えて笑えるものではなく、
ミカンの人生を大きく狂わせていて、

本人ではなく、
近しい人間に呪いの矛先が向くため、
多感な15歳の女子高生には、
普通の人間関係が怖くて築く事ができない。

それでもようやく、
新しい学校で新しい友人ができ、
やっと普通の交友関係が築けたと思いきや、
ここで呪いが発動。

友人たちに多大なる迷惑をかけ、
変わる事のできない自分に失望し、
ミカンは夜中にひっそりと、
町から出て行こうとする……。

話だけ見れば、
とてもギャグアニメや萌えアニメには
思えない展開ですが、

本作品では、
テンポの早い独特の会話劇で、
この重苦しい状況を、
コメディへと変貌させてしまう。

普通の作品なら、
「ああでもないこうでもない」と、
モノローグで悩み続けるようなシーンも、

迅速に、
ちょこまか動くキャラクターたちによって、
視聴者が不安がる前に、
懸念材料は笑いと共に一蹴される。

言わばこの作品は、
笑いながら綱渡りしているようなもので。
眼下には、
底知れない闇が広がっているにも関わらず、

真下をチラ見しながらも視聴者は、
登場キャラクターたちの言動によって、
ポジティブに前を向いて進んで行く。

慎重に考えることで逡巡するよりも、
真っ先に行動がすることがいかに大事か、
この作品は我々に教えてくれる。


感情をうまく操り、
行動出来ない人を行動できる人に変える。
行動を支配するのは理屈ではなく感情。

※参考文献
結局、
「すぐやる人」がすべてを手に入れる
藤由 達藏 (著)


ありがとうございました。