てとてと さんの感想・評価
4.1
物語 : 4.5
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
トンデモ料理物の傑作。2019年版よりも遥かに良い
トンデモ面白料理バトルアニメ。
※作品データベース様より転載
【良い点】
全52話と恵まれた尺。
原作の最初から主人公マオの軌跡を丁寧に描き、仲間との出会いや料理人として成長していく過程を掘り下げている。
例えば2019年のリメイク版ではダイジェストで流された、サンチェとの出会いと交流など。
削られたエピソードも多いものの、主要な話は軒並み丁寧、より分かり易い良改変も多い。
ヒロインのメイリィが可愛く、マオをいつも近くで見守りヒロイン力も高い。
彼女が旅に同行したのがアニメ版の良改変。
中華料理と料理人を軸とする(ブッ飛んだ)ストーリー、その為の世界観や舞台設定がしっかりしている。
清朝末期という舞台背景や料理に対する人々の反応など、一つ一つの描写に物語としての奥行きを感じさせる。
文化としての食に対する拘り、生き方そのものへの信念など。
その背景を元に、料理人たちがトンデモ料理バトルに雪崩れ込む展開に説得力を持たせている。
悪人や汚い敵も多いが、料理対決では比較的フェアなのも良い。(味覚破壊とかの裏技も勝負の一環、審査自体は不正がほぼ無い)
権力者側が比較的マオに好意的なのもストレス少ない要因。
主人公のマオが行く先々で水戸黄門めいて悪い料理人倒したり、強敵と鎬を削るなど、少年漫画の王道的な分かり易さも魅力。
悪の組織「裏料理界」、謎の神器「伝説の厨具」などのハッタリの効いた要素で飽きさせない。
トンデモ調理バトル。
(そうはならんやろ…)な奇想天外な調理シーンや謎理論連発、過剰演出も相まって(よく分からんがすげー!)と唸らされる。
料理のスケールが中国大陸的でかさ、とりあえず驚かされる料理多い。
審査員の過剰リアクションも面白い、審査員の大半がオッサンなのも笑える。
調理対決でやたら命を懸ける(文字通りの意味)超展開も多く、敵の行動もいちいち面白い。
キャラデザ含めた作画も90年代アニメとして申し分なく、特にトンデモ調理シーンの演出は今見ても非常に面白い。
声優陣も非常に良い。
【悪い点】
削られたエピソードもある。
裏料理界の幹部「五虎星」との本格対決に至る前に終了してしまった。
料理対決の勝敗が(視聴者から見た)美味しさよりも、口八丁のハッタリで決まっているフシがある。
例えば序盤の特級厨師試験の勝敗、ライバルの方が普通に美味しそうじゃね?と思えたり。
料理は哲学、味だけでなく、そこに込めた思想の優劣をいかに審査員に納得させるかの勝負に見える。
もっとも、そんなハッタリ含めての中華一番の醍醐味かも知れないので良し悪しあり。
【総合評価】9~8点
トンデモ料理アニメの傑作の一つ。
原作途上での終了は惜しまれるが、全52話の完成度は非常に高い。
評価は「とても良い」
原作ラストまでやってくれていたら最高評価だった。
2019年放送の「真!中華一番」は本作の劣化もとい簡易ダイジェスト版といったところ。
本作では実現しなかった五虎星との決着は、「真!中華一番」に期待したい。