色眼鏡 さんの感想・評価
5.0
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
「2面性」を見逃しがち
概略(極力ネタバレを省く)
この作品には「主人公視点」「他キャラ視点」の2つの視点がある。
作品の感想を聞くにあたってこの2面を区別せずに論ずるものは多々見られるが、いや、少し待ってほしい。
この作品は、主人公を主観とするか、主人公以外を主観とするかで雰囲気と楽しみ方が大きく異なるのだ。
(当方まともな評論の経験がないため、稚拙な文章に傾くことはお許し頂きたい)
【主人公視点】(ギャグ的)
まず主人公視点に関していくつかのキーワードを挙げるなら、 ギャグ 俺TUEE 痛 である。
1話から主人公の狂気や痛さが酷く鼻につくが、これらは"嘲笑え"と提示されているシーンである。
続く話でも主人公の御都合に世界が呼応して物語は進んでゆくが、これも"そんなわけないだろ笑"と嘲笑え。
これらのシーンが"あからさまに""わざとらしく"痛いシーンとして演出されていることを考えれば、制作側もギャグとして扱っているのが分かるだろう。
他のレビューでも見るように、「この主人公、痛いなぁ〜笑」と見るべきシーンなのだ。
【他キャラ視点】(シリアス的)
次に注目すべきは主人公以外の視点である。
ここで言うシリアス的を、キャラの葛藤や苦難などのドラマが描かれているようなもの、とする。
主人公が主観にされていないシーンは大方シリアスなシーンと考えて構わない(例外は有)。
シリアス的シーンに関してはネタバレを避けて説明することが困難であるため、3話4のネタバレを以下に隠す。
(強いて言うなら、作中に登場する「アレクシア皇女」の剣技に対する姿勢と葛藤は分かりやすくシリアスなシーン)
{netabare}
アレクシア皇女は天才の姉アイリス皇女に剣技力の差を感じており、周囲からもそれを指摘されることで強い劣等感を抱いていた。
周囲から付けられた「凡人の剣」という仇名のとおり、アレクシアの剣技はあくまで努力の積み重ねによって成り立つものであり、対する姉に比べれば実力も華もない。
主人公であるシドも、陰の実力者を目指して同じく鍛錬を重ねた剣であるが、シドの剣を見たアレクシアは、
「基礎ができているだけ。それだけなのに、何故か目を奪われる。…でもやっぱり嫌いな剣」
と言う。
同じく努力の剣である主人公の剣技に魅力を感じながらも、それを凡人の剣である自分の剣と重ね、嫌うのだ。
「あなたも私と同じ凡人の剣。残念だったわね」
主人公はそんなアレクシアに対して、
「残念とは思わないよ。…僕は君の剣が好きだし」
…その後なんだかんだあって事件が起き、"正体を隠した"主人公であるシャドウがアレクシアを救うことで事件を解決する。
事件解決時、
アレクシアが見たのは、凡人の剣。その極み。
シャドウが見せた剣は、努力の剣でも遥か高みに届くことをアレクシアに物語ったのだ。
この事件によって凡人の剣は救われ、「君の剣が好きだし」と言った主人公シドにアレクシアの心が少し傾く。
(その後シドはアレクシアをこっぴどく振るのだが)
以上が3話4話辺りに見られるシリアスシーンである。
{/netabare}
以上のギャグ性をもつ「主人公視点」、シリアス性をもつ「他キャラ視点」の区別を意識することで、コメディな作品として楽しみながらも、同時に情緒的なシーンも味わうことができるアニメなのだ。
これがこの作品の2面性である。
以降の細かいシーン毎の話は気が向いたら少しずつ追記する。