芝生まじりの丘 さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
無題
難解など芳しくない前評判を踏まえて見たが物語としてはわりと素直なものに感じられた。
ストーリーはあるし、アニメーションはよく動く。
ナウシカ漫画版の映画化と思えるような展開の部分があり、ナウシカファンとしては楽しかった。
【文学的モチーフ】
偶然か意図的かはわからないが、この作品、文学批評でよく扱われる題材がちょこちょこ顔を出すような気がする。例えば「我ヲ學ブ者ハ死ス」と書かれた、何を守っているのかよくわからないナンセンスな門はあたかも文学批評でよく出るカフカの「掟の門」のようだ。
そして幻想世界で母がヒロインになるというこれも文学批評家の大好きなオイディプス王的展開である。
「掟をやぶる」ということについては、後半他でもしきりに登場する文言である。これはまた、プロップの物語論で登場する、「禁則の違反」という物語において古来から定番とされている事柄である。
創作者の頭の中にうごめく物語の原初のスープをのぞいているかのようだった。