たわし(爆豪) さんの感想・評価
3.9
物語 : 3.5
作画 : 4.5
声優 : 3.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
社会は複雑、人の心は尚更
2013年の引退宣言を撤回し、齢80代の宮﨑駿の新作ですが、年齢もあってかメインアニメーターを勤めないで、若手の手練たアニメーターを総結集させて作らせて駿監督は脚本と絵コンテを担当したみたいです。
なので、歴代の宮崎駿監督作品に比べると、作画のパワーは感じられず、冒頭の火災のシーン以外は凡庸なジブリの映画という感じにどうしてもなってしまいます。
しかも脚本もおそらく練ってはいなく、思ったことをそのまま書いている感じでどの作品よりも作品の「純粋」さは伝わってきますが、映画としての完成度は歴代の中でも低いと思われます。
しかし、現代社会の複雑さを描いてる「時代性」と「観察眼」は素晴らしく、「今」の時代の空気感(閉塞感や多様な人間の価値観など)はきちんと捉えられていると思います。
これは褒め言葉ではなく、それだけ日本社会は複雑で多様化し、個人と個人の隔たりが大きくなってしまっている事の表れだと思うので、芸術家として感性は賛同しますが、複雑な心境は変わりありません。
最も最大手の「スタジオジブリ」がこういった作品を作るとなると、世の中の混迷ぶりが浮き彫りになっている気がします。