タック二階堂 さんの感想・評価
4.4
物語 : 5.0
作画 : 4.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
真の“美しさ”、真の“賢さ”とは。
詳細は公式サイトでも見てください。
2013年初頭に劇場公開されたアニメ作品で、原作は小学館『月刊flowers』に連載されていた岩本ナオさんによる少女漫画で、「このマンガがすごい!2017」オンナ編1位受賞作品になります。制作は「よりもい」のマッドハウスです。
原作が少女漫画で、監督が女性。そのためか、非常に優しいタッチの作品となっています。
長い間、国交が断絶され、仲が悪いアルハミドとバイカリ。その両国は、ささいなきっかけで過去に何度も戦争を繰り返してきました。あるとき、長い戦争状態に終止符を打ち、アルハミドからは国で一番美しい娘を嫁に、バイカリからは国で一番賢い男を婿にやることで、両国の関係維持を行ってきました。
そして、このたびはアルハミドからは丸々としたヒロインのサーラを、バイカリからは役人の仕事すらすぐにクビになる昼行灯のような主人公・ナランバヤルが選ばれましたが、両国が送り合ったのは犬と猫でした。
というところから始まるストーリーです。
とまあ、さわりのストーリーを書くだけでも、とうてい主人公とは思えない冴えない2人が主人公。このふたりが、両国の架け橋となって国交回復までを描くストーリーになっています。
2人の主人公は、見た目こそ冴えないものの、とても魅力的な内面があり、それが本当の“美しさ”であり“賢さ”と思わせてくれます。
確かに子供向けの童話みたいな映画と言ってしまえば、それはそうなのですが、非常に良く作り込まれた「観てよかった」と思わせてくれる作品に仕上がっています。
大筋のストーリーにおける目標が明確で、無理をせずに織り込まれたイベントが適切な分量。2人の主人公の魅力を十分に引き出しつつ、特にサーラの献身的なまでの愛情が感じられ、じんわりと感動させてくれます。
終盤、ややご都合主義的な展開ではありますが、落とし所も文句なし。素直にいい映画だったと言える作品だと思います。昨今の、新海誠作品リスペクトな精密に描き込まれた背景美術があるわけでもないし、「鬼滅の刃」や「呪術廻戦」のような派手なアクション作画があるわけでもありません。
でも、これは名作だと思わせてくれる魅力に溢れた作品です。いやあ、ホントに観てよかった。