ひろたん さんの感想・評価
3.8
物語 : 4.0
作画 : 3.5
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
原作8巻分をたった1クールによくまとめたなと感心する作品
原作マンガを先に読んでいましたので、物語の評価と言うより、アニメ化の評価です。
悪い点と良い点がそれぞれあります。
悪い点は、1クール12話にすべてを入れるために結構端折っていることです。
良い点は、原作の重要な要素はなぜか余すことなく入っている感じがすることです。
つまり、悪い点と良い点が紙一重なのです。
ある意味、アニメ化としては上手くいっているのかなと感じました。
■原作を上手く昇華させている場面は優秀
{netabare}
主人公は、終盤に「止界」と言う時が止まった世界に取り残されます。
このときの表現がとても優秀です。
マンガ以上に精神的に過酷な状況が伝わってきます。
特にその演出上、主人公以外の音が一切しない世界の中で、
主人公だけが動き回っている状況が、とてもリアルに感じられました。
もし自分も同じ状況にいたら発狂するなと実感できてしまいます。
そして、主人公は、最後にもとの世界にもどってくるのですが、
原作では、そのきっかけが少し唐突でした。
しかし、アニメ化では、最初に、その最後へとつながる伏線を張っています。
そうすることで、唐突感もなくなるどころか、そう言うことだったのか!と
原作で少し「えっ」て思ったところが、自然に入ってきました。
上手いと言わざるを得ません。
{/netabare}
■主人公のキャラデザ変更は優秀!ただし、モブのキャラデザは手抜きすぎ?
{netabare}
マンガとアニメでは、主人公と敵の親玉のキャラデザが大きく違います。
この変更はとても優秀です。
特に主人公の女性は、とても若くて可愛く見えます。
確かにマンガでは、実年齢よりも少し上ぐらいには見えていたかもしれません。
しかし、それがアニメだと歳相応になった感じです。
ただし、どちらが良い悪いと言うわけではありません。
それは、それぞれのもつ特性や雰囲気に合っていると言う感じだからです。
逆に主人公を取り巻くサブキャラとモブキャラのデザインは原作を踏襲しています。
原作の劇画調の絵をそのまま動かすのは難しいはずです。
そのためには、多少キャラデザを工夫する必要があります。
前者は、それができていてすごく納得できる感じのキャラデザになっています。
しかし、後者については、手抜きのような印象をうけます。
まぁ、所詮モブだからなのかもしれませんが、登場回数は多いので粗が目立ちます。
と、言うわけで、モブについても、もう少し雰囲気は残してほしかったなと思います。
{/netabare}
■まとめ
原作8巻分を1クール(12話)に再構成しています。
原作を先に読んでいるとよくまとめたなと感心してしまいます。
いろいろ端折っていますが、要素は余すことなくアニメ化しているからです。
しかし、原作を読んでいないと物語を理解するのが少々むずしいかもしれません。
話は分かるのですが、登場人物の行動心理が分からない感じだからです。
特に主人公と敵の親玉との最後の関係を是とすることができるかどうか・・・。
原作は、じっくりとした場面展開とモノローグを追っていく中で納得できます。
一方、アニメは、その展開が少し駆け足なので納得できない人もいるかもしれません。
そこは、少し残念だったかなぁと言う印象でした。