てとてと さんの感想・評価
3.5
物語 : 3.0
作画 : 3.5
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 3.5
状態:観終わった
ライトな怪奇路線で虐待に対峙?ユニークかつテーマもドラマも良いが、いまいち刺さらない
主に家庭環境の歪みに因んだ心理的問題で体の一部が食品化してしまう子供たちを、主人公がメンタルケアする感じのお話。
はたらく細胞と同じ少年シリウス出身作品。
※作品データベース様より転載
【良い点】
怪奇要素を絡めたメンタルケア系の作劇はユニークかつ分かり易い。
怪病のインパクトで興味を引きつつ、心理的課題を抱えるゲストキャラたちと交流して解決に導いていく。
「目からマヨネーズ」「ち〇こが竹輪」「頭の中からポップコーン」等々、一見ふざけているがテーマは至って真摯。
2話の七股チャラ男がち〇こ竹輪にされる勧善懲悪は笑えた。
その他は毒親というか、家庭環境の歪みで抑圧される子供たちを救済していく路線が中心。
保護者のエゴで声無き悲鳴を上げる子供の苦しみを、怪病という形で分かりやすく示し、良い形に収まる後味の良い話に仕上げている。
題材が重い割には優しい作風なのと、対象者と保護者それぞれが自ら問題に気付くように仕向ける作劇なのも良い。
過保護やカルト宗教など現代的なテーマを扱いつつ、少年漫画としての分かり易さが見所だろうか。
毒親(クロは兄)が悪人とは限らず、善意ゆえに子供の可能性を潰してしまっているケースを描いている点が意欲的。
絵柄やキャラクター含めて親しみやすい。
ラムネとクロ、師匠のドラマを綺麗に描き切ったので1クールアニメとしての完成度は高い。
キャラクターは主に男の子の可愛さと関係性を重視しているように思える。女性向け萌えながら悪くない。
ラムネ先生とクロの出逢いが描かれる終盤とか、天才少年とクロのユウジョウとか。
4話の中の人ユージオとキリトな少年同士の王道青春ドラマは中々良かった。
女の子?は見た目幼女なアヤメばあちゃんが可愛かった。目からマヨネーズな子役少女も。
【悪い点】
個々のキャラやストーリーは良く出来ているんだけど、全般に辛気臭く、やや説教臭い。教育アニメ臭。
毒親に子供が虐げられる話が中心なのは、ハッピーエンドに収まるとはいえ楽しくない。
優しい作劇なのは良いが、その分浅く感じる。
毒親を改心させる流れも強引、性善説に依存している感がある。
個々の話は悪くはないが、どこかで見たような話が多くあまり印象に残らない。
2話以外では勧善懲悪を求めない曖昧な作風、そういう趣旨の作品ではないのは分かるが、物足りない。
絵柄やキャラクターの雰囲気が若年層向けでありながら、話の内容が子を持つくらいの大人向け?というギャップ感。
決して悪い作品ではあるまいが、なんというか、中途半端。
怪病や怪道具のギミックも怪奇路線としては地味で十分活かせていなかった。怪異作品としての魅力に欠けた。
9話の迷宮回?が趣旨のよく分からない謎回で戸惑う。
怪道具関係者の掘り下げも不十分、アヤメばあちゃんとかニコ兄や紅葉師匠とか、魅力的キャラも十分活かせておらず勿体無い。
ラムネ先生やクロ君は悪くはないキャラクターではあるけれど、地味。魅力的かはやや微妙。
キャラの華という点では同時期の怪異系「怪物事変」に一歩譲る印象。
【総合評価】4~3点
作品自体は良質と思われるが、自分の好みには刺さらなかった。毒親作品は自分には鬼門。
評価は良い寄りの「普通」